第49話 花火大会1

 夏休みも終わり間近になってきた。

 インターネットカフェでの膝枕は、最高だったと思い浮かべては新婚夫婦みたいでいい気持ちになってしまう。


 結婚か……。

 良いところに就職とかしないとできないからな。

 安定した収入が欲しいけど先輩は、バスケ選手になるって言ってたのを思い出す。

 バスケ選手もなれる確率は、低いってわかってるからなー。


 真帆ちゃんは、小説家になれたけど自分って結局何も持っていない平凡人間だから結果を出したことって言ったらバスケで優勝したことだけ。

 バスケで結果を残し続けたらバスケ選手の道も切り拓くこともできるかな。

 やれるだけやってみないと結果なんてわかんないよね。


 それなら頑張ってみるか!


 部活休みの日でも積極的に家でトレーニングやらするようにした。


 トレーニングで汗をかいて、ふとカレンダーに見る。あっ、花火大会の約束してたな──って今日じゃん!


 予定に穴をあけそうになってた。

 夜だから一応もうシャワー浴びとかないといけないな。


 汗を流してサッパリした状態で上がってアイスに齧りかぶ付く。

 扇風機を一人で独占して汗をかかないように独り占めしていた。

 結花は、呆れながら見てたけど自分専用のミニ扇風機を優雅に使いこなしてて本当に自分と同じ空間にいるのかと疑うほどだった。


「お姉ちゃんは、何しててもかっこいいだね」


「へ?」


 こちらを見ては、ため息をつきながら、無意識にフェロモンを振りまくな、と言われてしまった。

 暑いから水を飲んでただけなのに凄い言われようだな。


「暑い時期は、ある意味、ご褒美とか思っている女子多そうだね。特に体育の時間が凄そう……」


 体育の時間に、ご褒美タイムがあるのか。

 黄色い声は、ないけど一定数からの視線を感じることは、多々あるかも?


「なんか汗をかいてタオルで拭いたりする時ってエロいらしいよ。今のお姉ちゃんもそんな感じだから」


 あー、真帆ちゃんが言ってたような……?

 男子は、拭いたりするのがない時は体操服で拭くのが多いから割れた筋肉のお腹が少し見える瞬間があってそれが良いって言ってた。

 タオルで拭いてもフェロモン出る人がいるんだろうな。


「それより、お姉ちゃん、時間大丈夫なの?」


「ん? やばっ! もう行く時間じゃん! 教えてくれてありがとう」


 時間を見ると待ち合わせの時間になりそうな時刻になっていて家から走って出て行った。

 花火大会とか久々かも!

 家族で行ったのも何年か前だったし、友達に誘われても基本行かなかったからなー。


 走って行ったから待ち合わせ場所に着いたらまだ誰も来ていなかった。

 よかったー。最近、集まる時は遅れるのが増えていたからなー。

 携帯を触っているといつの間にか、目の前に雫が立っていた。


「うわっ! 雫!」


「ふふっ、どう? 似合ってる?」


 雫が浴衣を着ている。

 パステルカラーは、水色で紫陽花が施されいて綺麗なデザイン。帯も立体的な花ができているみたいで結び方が大変そうなイメージあるけど雫にとても似合う。


 髪型とかふんわりしていて今までとは違った雰囲気を醸し出していた。


「似合いすぎて家にお持ち帰りしたいぐらいだよ」


「怜は、恥ずかしいことばっかり言うから少しは慣れてきたかも」


 耳と頬が真っ赤っぽいから耐性は、完全にはついてないみたいで可愛い。


「いやー、暑い中でお熱いねー!」


 真帆ちゃんと澪ちゃんは、いつもイチャイチャしている時に来ていることが多いよなー?

 もしかして、いつも影で見守っているのか?

 あの二人ならやる可能性が十分高い。

 過ぎた過去を気にしてたら、きりがないから次からは見られないようにしようと心に誓った。


「まあね。ラブラブだもんねー、雫」


「う、うん……」


 雫と横に並んで恋人繋ぎを思いっきり見せつけた。

 口ごもりながら返答してくれるだけでも嬉しくて舞い上がってしまう。


「まあまあ、それより見に行こうかー。花火まで時間あるから出店見て回ろうー」


 しれっと話題変更して人だかりが多いところを二人が親指で指しながら言う。


「何食べるー?」


「わたあめ行くかー!」


 ここにいる三人全員が、わたあめを指名している。

 女の子は、わたあめ好きなんだな。


「値段は、仕方ないけどカラフルで見た目も良いし美味しいからね!」


「わかるー」


 雫が熱心に語っていてそんなに好きなのか、と思った。

 買ってきた三人は、でかいわたあめを片手に持って歩いているけど顔と同じぐらいでかい。


「あっ、お面がある。可愛い。」


 澪ちゃんが食いついたのは、お面だ。

 和風な感じのイメージで鬼や狐などが置いてあって目を引くのばかりある。


「たしかに良いねー! 黒い狐買おうかな」


 狐を買って戻ってくると雫もお会計をしてて何のお面を買ったか確認していると白い狐を買っていた。


 お、お揃い! 内心悶えながら行動一つ一つに苦しんでしまう。


「へへっ、お揃いにしちゃった」


 そして、この一言である。

 可愛すぎる恋人だ!


「また、お揃いが増えたね」


 洋服しかお揃いがなかったから少しずつペアの物も増やしたいよね、なんて思いながら出店を回った。

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