第36話 体育祭4
昼休みが終わったので次の種目の応援合戦に向けてクラスの男女が着替えている。
これは、勝ち負け関係なくて、ただやる気を出させる感じだけっぽい。
緊張するけど、一年生が先にすることになっているので男子の応援団からする。
待機場所に真帆ちゃんと自分以外の女子は、残っていて男子と一緒に行く。
最初は、他のクラスからざわめきがあったけど、次第に女子からの黄色い声が聞こえてくる。
一年生の男子ってこんなに女子に人気だったんだ。
女子の要望により自分の出番を増やして欲しいと言われていたのが原因で体育祭の応援団に必要になるから作成した自分のクラスの旗を持って端から端まで走るという役割を任命される。
最初に一緒に声出しをして、途中から旗を持って走るんだけど違うクラスの女の子とよく目が合ったりする。
女の子に向けて、小さく手を降ったりしたらファンサをした時のアイドル並に、でかい歓声が湧き上がってきた。
もちろん、雫にはウィンクをしたので、やりきったと満面の笑みになっていたかもしれない。
応援団が終わったので次は、女子のチアガールがくる。
雫と澪ちゃんがいたので手を降ったりした。
にしても恰好が際どい。
男子の視線が女子に釘付けになっているし、雫もその一人に入っていると思うと、あんな恰好させたくなったかも。
ミニスカートだよ!? 見えちゃうよ!
昼休みとかに頑張って覚えていたし踊りが凄い上手だった。
顔を見ようとするのに自然とスカートに目がいっちゃう。
雫と目が合ったのでスカートばかり見て怒った表情になっていると思っていたが天使のような可愛らしい顔で笑っていたので思わずキュンと胸が高鳴る。
一人で悶えながら可愛すぎる雫に翻弄されてしまう。
「あたしのカメラで今のところ写真を撮ったから貸し一つでどう?」
「ありがとうごさいます! 何でも命令して大丈夫です!」
真帆ちゃんから提案されたのを受け入れて雫の写真を貰えると約束してくれた。
幸せな時間が終わって着替えて女子が戻って来る。
「怜ちゃん、かっこよかった!」
「手を降ってくれた時、嬉しかった!」
女子から取り囲まれてしまって雫に近づくことができない。
次の種目あるから控えめに席に座るように伝えるとクラスの子も大人しくしてくれて雫を探そうとしたけど澪ちゃんと一緒に次の種目に行ってしまった後だった。
「残念だったねー」
真帆ちゃんが肩をポンポンと叩いてくれて励ましてくれた。
次の種目は、パン食い競走。
雫は、怒っているような表情だ……。
でも少し悲しそうな表情にも見える様子でスタートラインに立っている。
自分と顔は、合わせようとしないままにスターターピストルが鳴り響く。
みんな、パンのところまで来てジャンプしてパンを取ろうとしている。
「雫と澪ちゃん頑張れー!!」
雫が声に反応してチラッとこっちを見た後にジャンプしてパンを取ってゴールする。
澪ちゃんが二位で、雫が三位という結果になる。
二人が戻ってきてからずっとパンを食べていた。
「雫、チアガール可愛かったよ! 伝えれなかったから伝えたかった。パン食い競走も頑張ったね!」
「……」
パンを食べていたから無言でこっちを見てくる。
怒って猫みたいにツンデレのツンが出ているのかな……。
次は、学年別リレーだから自分の出番だし、雫の頭を撫でてから待機場所に行った。
早く仲直りしないと空気が重く感じる。
リレーは、アンカーなのでまだ暇だったから、その間は雫をずっと見ていた。
もうすぐで出番か。
一年生は、三位ぐらいになっているのかな。
スタートラインで待ってバトンを受け取る。
人を抜かして行って最後の一人が抜かせれない。
「怜、頑張って」
歓声の中から小さいけど確実に雫の声が聞こえたのが、嬉しくてもうスピードでゴール直前の僅差で一位になることができた。
たまたま一年生の席に戻る時に雫がトイレに行っている途中だったので雫の手を掴んで誰もいないところに建物の裏側に連れ込む。
「どうしたの」
「雫、まだ怒ってる?」
顔を合わせようとしても別の方向を向くのでどんな顔をしているのかわからない。
「別の女の子に、ちやほやされてたからなんか嫌だなって思ってただけ。それに距離も近かった……」
これは──嫉妬か!
「本当にごめん! まさか女子から話しかけられると思ってなかったけど雫が嫉妬してくれてたとか幸せすぎる」
なんかめっちゃキスしたい気分。
「雫を見てるとキスしたくなっちゃった。キスしていい?」
「私、怒っているんだよ……」
そう言っているけど抵抗は一切しないから、誰もいない建物の裏でこっそり口づけをして雫は、逃げるようにトイレに駆け込んで行く。
体育祭のすべての種目が終わったので閉会式をして勝者は、白チーム!
自分は、機嫌が良い状態で家に帰ることができた。
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