第10話 友達の友達

「あっ! 真帆ちゃん!」


 朝、教室に居る時に声をかけてきた真帆ちゃんだった。四人で自己紹介をし合う。


「千葉 怜って言います。宜しくね!」


「鳳城 雫です。よろしくお願いします」


「東雲 真帆です! 仲良くしようね!」


「初めて。真帆の幼なじみで七瀬 澪ななせ みおです。よろしく。」


 四人の挨拶が終わった。

 真帆ちゃんと仲良いとわかったからか澪ちゃんの表情が柔らかくなったような気がする。


 澪ちゃんは、ふんわりした、外ハネボブの髪型をしている子。

 体全体が気だるげさを露わにしていて、何を考えているのか、わからないからミステリアスな雰囲気を出しているような印象だ。


 普通に座るのも面倒なのか、真帆ちゃんの身体に寄りかかっている澪ちゃんの姿は、まるで猫そのものに見える。


「澪、もうグループが決まったから先生のところに早く報告行かないとだから退いてー!」


「だるい……」


 なんでかな。飼い主とペットが戯れている様子を見ているようだ。


「真帆ちゃん、大丈夫だよ。先生に報告しに言ってくるよ! 後、部屋の場所もついでに聞いてくる!」


「怜ちゃん、ありがとう!」


 動ける状態じゃない真帆ちゃんの代わりに自分が先生のところに報告しに行く。


 遠くの距離で真帆ちゃんがお礼を言っている横で寄りかかる澪ちゃんは、グッドサインを出しながお礼を言っている。


 雫は、初対面の二人を目の前にして買われた猫状態になっていた。報告に行こうとすると、私も行きたいって迫られたが、これから一泊する仲だから慣れさせるため待機させる。


 三人に、ピースサインをだしてから先生のいる場所に向う。


 先生の目の前まで足を進めた所で、先生が私に気づいた。


「グループできたみたいだな。んじゃ、梅の間だな。旅館の中に入っていいから、梅の間の場所を旅館の方に教えてもらえ。部屋に着いたら荷物を置いて携帯回収するからを携帯を持って広間に集まって欲しい」


「はーい」


 言葉を伸ばすなと軽く注意を受けてからその場を離れ、三人が待っている場所に向う。


 三人がいる場所に近づくと話し声が聞こえてくる。


「ロマンチックな出逢いじゃん! 羨ましいな!」


「そんな事されたら性別とか関係なく惚れるわ」


 乙女な反応を見せる真帆ちゃんに真顔な顔で答える澪ちゃん。

 それを言われてちょっと照れた反応をしている雫。

「かっこよかった……」とだけ言う雫と他にいる二人の謎の現場を遠巻きに見てしまう。


 声が普通に聞こえるんだよなー。それに、なんか盛り上がってる?

 自分抜きで、こんな盛り上がられるのも中々、寂しいな。


「三人で話が盛り上がってるみたいだけど、寂しいなー」


 話に割り込んでいくと三人が、驚いてこっちを見る。


「ビックリしたじゃん! でも盛り上がっているのは、怜ちゃんの話だから安心して!」


 大丈夫だからと言う表情で自信満々に答える真帆ちゃんに思わず変な声が出てしまう。


「えっ? そうなの?」


 三人が、こくりと頷く。


 ふむ──わからんな。

 頭が回らなくなる。もう考えるのを諦めて、とりあえず先生から言われたことを三人に言う。


「一旦、この話は終わるとして部屋に荷物置いてから携帯を回収するからそれを持って、広間に集まるように言われたから部屋に行こ?」


「いこいこー! 次は、本人も交えて暇な時に聞かせてよ!」


 真帆ちゃんが、自分の肩を静かに叩いてから旅館に入っていく。


 澪ちゃんと雫も真帆ちゃんの後に続いて、旅館に入っていくので、急いで遅れをとらないように、三人の後ろをついていった。

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