第6話 新たな友達
「おはよー」
おはよーとクラスの生徒数名が、挨拶を返してくれた。やっぱり、早く学校に着いたから人が全然来てない。
雫は、徒歩で来るから時間とか大丈夫かな……。
雫の連絡先も交換してないから連絡できないし、ただ待つしかできない。
何もすることがなくて、携帯をいじってると同じクラスの女子生徒が話しかけてきた。
「怜ちゃんって名前で合ってる?」
見た感じ、大人しそうだけど同い年には見えない隠れた大人っぽさを持ってる印象の子だ。
眼鏡をかけているから、わかりにくいけど、とても綺麗な顔立ちをしている。もし、眼鏡を外したらクラスで目立つだろうな。
「うん、そうだけど──どうしたの?」
「お話したかったから声かけっちゃった。あたしの名前は、
執筆意欲って何か書いてるのだろうか?
「小説とかを書いてるの?」
「うんうん! 正解! この高校は、バイトしても大丈夫って書いてたから入学した感じ!」
第一印象が大人しく見えたが、全く違う。正反対のよく話す子だ。
雫もそうだけど高校に入って、バイトと勉強の両立とか自分にはできなさそうだな。
時々、学校が休みの時と日曜日などに父の仕事を手伝って、お小遣い稼ぎにしてる程度だから尊敬する。
「凄いね! アシスタントとかのバイトしてるの?」
「実は、もう作家としてデビューしてる感じかな。高校卒業したらそのまま作家をお仕事にするって決めてるよ」
凄い子は、年齢とか関係なく自分の才能を活かしてるんだ。
「え! もう仕事してるじゃん! カッコイイね!」
卒業する時までに自分のしたいことを見つけれるかも分からない自分とは何もかもが違う。
何も考えずにただ楽しく高校生活しようなんて考えちゃ駄目だって痛感する。
「まあ、でも問題もあるんだ。あたしの親が反対してるんだよね。小説家は、安定した職業じゃないから駄目だって」
「そうなんだ……。高校生でデビューするだけでも凄いことなのに辛いね。なりたくてもなれない人もいるって聞くのに!」
したいことを反対されるのは、凄く悲しいと自分は思う。
「心配してるから手に職をつけろって言うのわかるの。だけど、あたしは小説以外に取り柄がないって知ってる。普通の仕事を勤めてるとか想像出来ない。ずっと、夢にまで見てた小説家になれたのに、この仕事を手放したくないって思っちゃったんだよね」
自分もここまで好きなことにのめり込めれるものがほしい。
「そこまで本気になれる仕事を見つけれるの凄いことだよ。真帆ちゃんは、十分頑張ってるから大丈夫! 何か、手伝える事あったら何でもするから話しかけて」
真帆ちゃんの頑張ってる姿を見て、つい頭をぽんと撫でる。
「ありがとー! 家庭事情で執筆意欲が萎えてたけど、怜ちゃんを見てるとインスピレーションが降りてくるんだよね! 女の子から告白とかされるでしょ?」
「なんでわかるの!?」
真帆ちゃんが、「あれー? 本人は知らないのかーって言いながら、いつかわかるよ!」と話をされた。
「顔が良いからね! 怜ちゃん、自覚ないからなー? 誰にでも優しくするといつか刺されたりとかするかもだから気をつけよう?」と真顔で忠告された。
「何言ってんのー、真帆ちゃん! そんなことあるわけないじゃんー!」
真帆ちゃんが、乾いた笑い声でハハッ……。って言われて今度、暇な時に何か奢るから楽しみにしてて! と席に戻って行く。
ありがとうって言う返事をする。
真帆ちゃんもニッコリ笑ってくれてこっちを向く。
「感謝の言葉言い足りないぐらいだよ!」
と言い残して目にも止まらぬ速さで自分の席について何かしている。
「ふー」っと溜め息がついて、嵐のような感じだったなと思いながらおもむろに雫の席の方を見る。
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