怖い、嫌い、しんどい

 世も末、言葉がすべて、壊れていく。


「俺の言う通りにしろ」、この人の言葉が、刃物のようなに尖っていた。私は、ロボットなのだろうか。あの上司の言われたことを真に受けて、その通りに動けば、真っ当な人生を歩むことはできるのだろうか。

 声が出ないくらい、泣き叫びたいのに、全く声が出ない。ロボットになりきれない自分に苛立ちが際立っていく。

「お前は馬鹿なのか」「何でこんなこともできないんだ」と罵られ、頭が全く機能していない。もう無理かもしれない。否定され続けることに、限界が来ている。


 言葉の糸が切れそうになる。何を言っても、伝わらない。どうすれば、分かったもらえるのだろう。 

 ただ、本当に分かってほしいのだろうか。どこかで、脳裏に、諦めが支配していく。


「何もしなくていいから」。


 最悪が頭が回っていく。必要ないと宣言されている。仕事が出来ない自分、何も頼まれない自分。出来ない必要じゃない。簡単に壊していく人間性。もう立ち直れない気がする。


 もう嫌だと頭に血がのぼっている。

その瞬間、「死ねー」と手に持っていたカッターナイフが、上司の元に飛んで行った。どこかで、頭の糸が切れてしまった。もう、すでに、止められることは出来ない。刃物は上司の腹部に突き刺さった。もう後に引けない。血の気が、身体とも声もまるで存在してないように、声が怯えていく。

 その場を逃げて、人に上に乗られて、取り押された。人の手が首を絞めつけられて、息が出来ない。もう二度と、目が覚めないことを願っている。

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