しつこい恋

石段を一段一段と上がった先にある神社に向かう。蒸し暑さが喉の渇きと、頭が暑くて、息が切れが止まらない。

 参拝して、お願いを毎日5回するれば、絶対、彩未あやみは戻ってくる。あの時、「もう別れたい」と彩未に告げられたが、俺のところに、また戻ってくると信じている。また、あの笑顔を見ることができるはずだ。

 別れて、1週間、何度も、連絡を届け続けた。会いたい。好きだと、メッセージをスマホに送った。

「また、バカなことしてるの?」

後ろから、近所に住んでいる美奈代が俺を睨んている。

「何が?」

「筋肉バカは、何もわかっていないのね」

 美奈代は相変わらず、人をバカにしてくる。無視だ。こんな奴を相手にしているわけにはいかない。

「彩未さん、結婚したそうだよ」 美奈代は僕を睨みながら言った。そんなに別れてほしいと思っていることに苛立ちを覚えてくる。別れて、1週間しか経っていないのに、すぐに彼氏を作って、結婚なんてするわけがない。そんなデタラメ信じるわけないでしょう。

「はいはい」

適当に交わしように、ただ怒りが止まらない。

「彩未さんは、君夫きみおとは付き合っていたつもりなかったらしいよ。ただの金づる…」

 美奈代の言葉を聞き流して、石段を登り続けて、願いを続ける。彩未には俺しかいないんだ。


家に帰ると、「もういい加減に、現実を見てくれない」と母親が玄関先で叫んでいる。

「何が?」

「警察が来て、ストーカー行為をやめてほしいって、言われたのよ」

「ストーカー?!」

「彩未さんよ」

母親まで、何を言っているんだよ。俺には彩未しかいないのに、誰も分かってくれないだよな。

「これでも、現実を信じないの?」

 そこには彩未がウエディングドレスを着ている写真を母親が突き付けてきた。怒りが止まらない。ここまで、偽装してまで、俺を諦めさせようとしないでほしい。


「19時に神社の石段のことろまで、来てほしい」と彩未から連絡が来たときに、嬉しくたまらなかった。

神社に着くも、彩未の姿はなかった。

「本当に、来たんだ」

彩未の声がして、嬉しくなって、振り返ると、彩未と3人の男がいた。

「この人、殴って」

「どいうこと?彩未」

 男2人が両腕をもって、もう1人の男が、俺を殴り始めた。彩未が笑っている。俺の好きな笑顔ではないが、笑っていた。何発も殴られて、抵抗できなかった。

「もう、本当に、諦めて、迷惑だから」と彩未は言っている。

「なんで、そんな冗談を何回も言うんだよ」

「もういい加減にしてよね」と言って彩未に、みぞうちを蹴られて、意識を失った。

 それでも、好きでたまらない。

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