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夜の商店街、喧騒の中心からやや外れた路地裏で静夜は目を覚ました。どうやら長いこと眠ってしまっていたようだ。相変わらず頭は重いが、いくぶんそれもましになっていた。体を起こし、家に戻るために再び商店街に合流する。前方に見える商店街の明かりがいつもより少し暗いことに違和感を覚えた。束の間、通りに出て静夜は言葉を失った。
シャッターの閉まった商店街は異形のものの百鬼夜行と化していた。街頭の中に灯る明かりが意志を持って動きだし、ガラスの中を縦横無尽に飛び跳ねてパチパチと音を立てる。その下では、首のないスーツ姿の男がくるくると手を広げて回る少女に名刺を渡しており、その横を一つ目の鬼が三体、両手に米俵を担いで走っている。そのうちの一体とすれ違いざまにぶつかり、大きく尻もちをついた。鬼は振り返って静夜をしばし見つめていたがすぐに仲間の方に振り返りそのまま走り去っていった。静夜は尻もちをついたまま、下駄を履き甚平を羽織った禿頭の老人が理容店のサインポールを怒鳴りつけているのを呆けた顔で傍観していた。
ここは自分が今までいた世界ではないということだけは理解出来た。
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