第7話
「ふぅー、続きをしましょうか桐場先輩」
何物事もなかったかのように佐々木は言った。
しかし桐場はそうはいかず突然の佐々木の先ほどの豹変に戸惑っていた。
「ん?どうしたんですか桐場先輩?」
「いやいやいや、どうしたんじゃないだろ!あきらかおかしかったぞ!」
「あー、そういえば初めてでしたっけ?あのテンションの僕を見るのは」
「テンション?」
「そうです。僕テンションが上がると普通の人よりハイになるんですよ。特に卓球でラリーが続いて早くなるとさっきみたいな感じになるんです」
テンションが高くなったからあんな風になったと佐々木本人は言うが桐場にはそれだけであんな風になるのかと思った。
「でも昨日の試合であんな風になったいなかったじゃないか?」
「さすがに試合中はある程度抑えますよ。まぁ、昨日の試合の場合はそれだけじゃないんですけね…」
最後のほうは声が小さくて桐場はうまく聞き取れなかった。
「とにかく、先輩の上達が早くてテンションが上がってしまってさっきみたいなことになってしまったんです」
だから、次からは抑えます、と佐々木は言った。
桐場も無理やり納得して練習を続けた。
その日はその後佐々木が変なテンションになることは無かった。
帰り道。
「どうだった桐場?初めての練習は?」
鈴木は帰り道の途中桐場に嬉しそうに聞いてきた。
「思ってたより難しいな、卓球って。でもフォアでのラリーなら何とか続けれるようになったぞ」
「おお!さすが桐場!センスがいいな、上達が早い」
「佐々木にも言われたよ。そんなに早いのか?」
「まぁ、人によっちゃあリフティングでつまづいてしまう人もいるからな。それに比べると桐場は順調にうまくなってるよ」
「そんなもんか。…あ、そうだ。今日佐々木が変なテンションになったんだけど、」
「ああ、俺も最初は驚いたぜ。ラリーを最中でいきなり笑い始めるもんな」
少し食い気味鈴木が言った。
「でも、試合では相手に失礼だからって抑えているし、練習中でしかあんな風にはならないから今はあんま気にしてないな。普段は普通にいいやつだから桐場もあんま気にしないでくれ」
「ああ、わかったよ」
「あーでも、佐々木があのテンションの時ほうが球の切れが良かったたりするんだよな、普段攻めてこないような結構際どい場所もせめて来たりするし」
そんなことを最後に鈴木はぼやいた。
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