第4話
帰り道
「どうだった?桐場、楽しそうだっただろ」
鈴木は楽しそうに聞いてきた。
「結構楽しかったよ、正直卓球なんて球を打ち合うだけかと思っていたけど全然違った」
今日、見学の最後に見た佐々木と沖田の試合を思い出す。
二人の必死の攻防を繰り広げられた試合は近くで見ると迫力があるものだった。
佐々木の攻撃的なスタイルに対して沖田のスタイルは守りに徹底したスタイルだった。
鋭いドライブを沖田はその巨体を生かし、すくい取るように打ち返す。
隣で見ていた鈴木に聞いたところ佐々木のようにドライブ主戦型というスタイルで、沖田はカットマンと呼ばれるスタイルらしい。
試合の結果は1-3で沖田の勝利だった。
「初めて間近で試合を見たけど凄かった。ボールがあんなに早く行きかうなんて、想像以上だった。それに回転の影響があんなにでるとも思わなかった」
試合の光景を思い出しながら桐場は言う。
「だろだろ、お前ならそう言ってくれると思ったぜ。どうだ?大会に出てくれる気になったか?」
「あんな試合が見れると思うと出てみたくなったな」
「それならさっそく明日にでも練習だな」
嬉しそうに鈴木が言った。
「ちなみに、練習って土日とかもやるのか?」
「いや、うちの部活は緩いほうだから無いな。楽しくやろうが沖田部長の方針だしな。夏休みも全くないわけではないけど他の部活よりは圧倒的に少ないぞ」
「そっか」
「なんだ?もしかして入部もしてくれるのか?もちろん歓迎だぜ!」
「うわ、」
桐場が思った以上に興味を持ってくれたのが嬉しくて鈴木が飛びついてきた。
「ちょっ、お前変なテンションになってないか」
「あははは、そりゃなるさ、お前が来てくれるまで何人に断られてたと思ってんだよ。そもそも、部活やってないやつを探すのだって大変だったんだぞ。こんなことなら初めからお前が部活辞めたこと知ってればよかった。てっきり、まだ陸上部に入ってるもんだと思ってからな」
「そう、そうだな…」
鈴木の最後の言葉に少し顔が陰るが鈴木は気づいた様子はなかった。
「とりあえず、大会までは部員の一人として頑張るよ。卓球部に入るかはその間に考えるでいいか?」
「そう言ってくれるだけでお前を誘ったかいがある」
鈴木は満面の笑みを浮かべてながら言った。
「明日からよろしくな、桐場」
「ああ」
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