第2話

「こっちのもじゃもじゃ頭が一年の佐々木君でこっちのメガネかけたほうが二年の岡崎君」

「よろしくお願いします。佐々木です!」

「どうもー」

佐々木は元気よく、岡崎はめんどくさそうに挨拶をした。

「とりあえず初めは鈴木君と岡崎君はいつも通り基礎練をしたあと各々で練習してて、佐々木君と僕とで桐場君にいろいろ教えるから」

「「はい!」」

「へーい」

部長の沖田が指示を出しみんなが返事した後、鈴木と岡崎が卓球台につき練習を始めるとカッ、コン、カッ、コンのリズムで球を打ち合う音が聞こえてきた。

「それじゃ僕たちはこっちの台でいろいろ教えるね。ちなみに卓球の経験は?」

「全然ないです」

「そっかなら簡単に教えるね」

「よろしくおねがします」

「卓球は基本このラケットでこの卓球玉を打って相手から点を取り合うゲームで、最初に11点取れば1セットとれる。公式の試合だと先に3セットとったほうが勝ちになる、みててね。佐々木君軽くサーブ出してくれる?」

「わかりました!」

元気よく返事をした後佐々木は代の向こう側につき、沖田は台の手前に立ち、構えた。

佐々木がボールを投げラケットで打つとゆっくりと佐々木の陣地で一度跳ね、ネットを超え沖田の陣地で落ちて跳ねる、沖田は跳ねたボールをものすごいスピードで打ち返した。

タ、カーン

と高い音とともにボールはあっという間に佐々木の後ろへと抜ける。

身長が高い沖田の全力のスイングは横からみてもかなり迫力があった。

「これで1点ね」

沖田はうまくいったのが嬉しかったのか、桐場に笑顔を向けながら言った。

「部長、スマッシュするなら言ってくださいよ、びっくりしたじゃないですか!」

「ははは、ごめんね。どうせならカッコつけたかったからさ」

横から見ていた桐場でさえ、かなり迫力があるスマッシュだった、正面から見ていた佐々木はそれ以上に感じれたのだろう、すこし文句を言う。

「でも、ボールが他の部のところまで飛んで行ってしまいしたよ」

「あ、ほんとだ、すぐに取ってくる!」

沖田は急いでボールが取りに隣で練習していたバトミントン部のところへ走っていった。

「すいません、部長張り切っちゃって。いつもはもっと静かなんですけど…」

佐々木が申し訳なさそうに顔して言う。

「見学に来てくれるのが相当嬉しかったみたいで、桐場先輩が来るまでずっと今日見学の人が来るんだって言ってて、いつも以上にテンション高かったんですよ」

「そんなに人が来ないのか?」

「まぁもう五月も末ですからね、この時期に今から部活に入る人は少ないですからね」

「そんなもんか」

(そういえば、鈴木もいろんな人誘ったけど全部断られたとか言ってな)

そんなこと思っていると、沖田がボールを持って戻ってきた。



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