球状のチェス

赤紫 井戸

第1話

「なぁ桐場、お前卓球に興味ないか?」

高校の昼休み、ご飯を食べていると友達の鈴木がいきなり話かけてきた。

「卓球?なんでいきなり」

「実はな、来月卓球の大会があるんだけど団体でしか出れなくてな、今の卓球部の人数じゃ足りなくて桐場に助っ人として入部ほしいんだ」

「でも俺は卓球なんてやったことないぞ」

「大丈夫だ試合の順番は一番最後にするつもりだ、もちろん練習にも参加してもらうが」

なるほど、つまり俺は本当に人数合わせとして大会に出ることになるということか。

「でもそれだったら俺以外でもよくないか?中学校の時に卓球部のやつくらいいるだろ?」

「いたけど誘ったら断られてしまった、だから友人の桐場に頼んでいるんだ。桐場運動神経いいだろ?」

「まぁ、悪くないけどさ…」

「だろ、とにかく放課後体育館に来てくれよ、最悪見るだけでもいいからさ」

そういうと鈴木はサムズアップした後自分の席に戻っていった。


放課後。

「来てくれてうれしいよ、桐場」

放課後、桐場が体育館に行くと鈴木は嬉しそうな顔して出迎えた。

「見るだけでも良いって言ってたからな」

「それでもうれしいよ、今部長を紹介するね」

鈴木は体育館の卓球台が出してあるほうへと走っていった。

桐場が目で追いかけるとそこには鈴木を含めて四人の部員の姿があった。

一人はメガネをかけた部員、一人は天然パーマの部員、そして最後の一人がここからでも目立つ長身の部員だった。

鈴木が長身の部員と話しているところから彼が卓球部の部長なのだろう。

暫く話したあと鈴木と部長であろう人が桐場のもとに歩いてきた。

「こんにちは、君が見学しに来た桐場君だね。僕は三年の沖田だよ、よろしくね」

「二年の桐場です、今日はとりあえず見学しに来ました。よろしくお願いします」

改めて近くで見ると部長の沖田はでかく桐場は自然と見上げる形で自己紹介をした。

「沖田先輩、身長高いですね何センチくらいあるんですか?」

「ははは、よく言われるよ。前の身体測定で測ったときは205cmだったよ」

「205cm!?」

想像以上の解答が帰ってきて桐場は驚きが隠せなかった。

「驚くだろ桐場」

桐場の反応が良かったのか鈴木が誇らしげに言ってきた。

「ははは、とりあえず他の二人も紹介したいからついてきてね」

「わかりました」 

沖田達について行き桐場は卓球部の練習場所に向かった。

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