24、琴葉

―ねえ、この先ってどうなってるのかな

 知らない、そんなこと。

―端っこはどうなってるんだろうね。  

 真っ暗で何も見えないじゃない。

―だからだよ。逆に気になると思わない?

 そんなの、どうでも良い。眠い。

―もうちょっと、奥まで覗きたくない?

 別に覗きたくない。ほっといてよ。

―ちょっとだけで良いからさ。一緒に行こうよ。

 うるさいな。静かにしててよ。

―ねえ、ねえ!恐いんだったら、僕が手繋いでてあげるよ。

 恐いんじゃないよ。眠いんだって。

―ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ!

 うるさいって言ってるじゃない。

―静かにしてたら、一緒に来てくれる?

 そういう問題じゃない。

―じゃあ、どうしたらもっと奥まで行ってくれる?

 だから、行きたくな…




 ふと目が覚めて、いつもと違う天井に一瞬戸惑う。

 思い出して、尚、側に弟がいない事に違和感を覚える。それだけ弟が、毎朝の目覚めを気遣ってくれているのだと、改めて思う。


 それにしても、勢いよく跳ね起きなかったのはいつ以来だろう。夢を見た気はするが、いつもと同じだったのか、そうでなかったのか、よく思い出せない。


 只、何となく今までと違った気がする。まるで頭に靄が掛かったみたいで、何とも言えずもどかしい。それでも、今朝は、ゆっくり夢の余韻を引きずる様な時間は無かった。今日中にやるべき事は沢山ある。

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