推しを語る

「リリアちゃんかわいいよ……!」

 リリアちゃんとは?

「それをいうなら私は風見っちを推す!」

 いや、誰!?

「なら私は上条さんを!」

「とある魔術の禁書目録の上条さん以外許さん」

 過激派じゃん……。

「左馬刻様が最強!」

 ジャンル! というかなんか色々変わったやつ出た!

「面長メガネー! それが最強なんだよ!」

 見た目で言うな、誰かわからん!

「なんだと、やっぱりそこはキノだろ」

 また変わったやつが……。

「では、茨木リノちゃんで」

 その子はどこの子?


 今日も今日とて推しを語る友人たち。

 女子ばかりの中に一人だけ男という異様な光景も、慣れてきたところだ。

 心の中でツッコミを入れるのも、だいぶ慣れてきたところ……。


 和気藹々わきあいあいと、楽しそうに推しについて語る彼女らは、とても可愛い。

 イキイキしていて、嬉しそうで。

 時々ぶつかったりするけど、それは好きなものだからこそ。

 アニメや漫画にうとい俺だが、このグループにいるのは当たり前になってきており、歓迎してくれる彼女たちに感謝だ。


 女子の中に男が一人。

 変に思われたり、変に見られたりすることもあるけど、誰にも文句を言わせる気も、邪魔をさせる気などない。


「ねぇ! (私・僕)の推しが一番だよね!?」


 話が白熱し、攻め寄ってくる彼女たちのこの答えには答えられないから、苦笑いをしてしのぐ。

 だって俺の推しは、君たちなんだから。


 今日も供給、ありがとうございます!!

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