我が家の図書館

「お〜い! もう行くぞ〜!」

「待って〜!」

「よしっ! もういいな?」

「うん!」

「しゅっぱーっつ!」

 我が家は、夏はもっぱら外に遊びに行くアウトドアな家だ。

 キャンプや釣りといったことも勿論、遊園地とか動物園とかに行ったり、遠出することもよくある。

 その反面、冬になると、とことん家から出ないインドアな家に早変わり。

 冬は何をしているかというと、おこたに入って蜜柑を食べ、テレビと見ながらダラダラと。

 まぁ、こんな人は普通にいるだろうね。

「こたつで寝ないでよ〜?」

「は〜い」

 この家の変わったところは、冬限定の部屋があること。

 我が家の小さな図書館。

 祖父母の代からあるらしく、小説は勿論、漫画までずらりと並んだ棚が囲む。

 真ん中には二人ほどが座れる、小さなおこた。

 しかし実際は一人しか入れない。

「ネネ、もうちょっと右に行ってくれない?」

「にゃ〜」

「動かん……」

 何故なら猫が入っている故、足の入れ場がないのだ。

 この部屋は、本を片手にぬくぬくと快適に過ごせる、それこそ極楽のような場所。

「ふふふっ」

友達にだって教えてやらない。

我が家だけの図書館だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る