イヌ、サル、キジの心内

─ 犬 ─



「きびだんごをやるから、家来になってよ!」


 そう言ったのは、齢16の少年だ。


 こんなヒョロっちいのに勝てるわけがないだろ……


 彼は今から、村を襲った鬼たちを退治しに、鬼ヶ島へ向かうのだと言う。

 正直言って無謀にしか聞こえない。

 大人でさえ太刀打ちできなかった相手に、少年一人で叶うわけがないのだ。


 きびだんごとやらのいい匂いに釣られて出てきたものの、話を聞くと心配しかない。

 きびだんごは勿論欲しいのだが……仕方がない、付き合ってやるか。


「ワンワンワン! 連れて行ってください!」


 こうして犬は桃太郎の家来になった。



─ 猿 ─



「家来になれば、きびだんごをあげる!」


 犬を連れた少年はそう言った。


 此奴はアホなのか?


 ついついそう思ってしまうのも無理はない。

 どんな人間も敵わなかった鬼を相手にするどころか、本拠地である鬼ヶ島に行くと言うのだ。

 無謀にも程があろう。


 犬に話を聞いてみたが、本人は本気らしい。

 きびだんごも欲しいし、これも出会った縁だ。

 放ってはおけまい。


「ウキキッウキキッ! 連れて行ってくだされ!」


 こうして猿は桃太郎の家来になった。



─ 雉 ─



「きびだんごをあげる代わりに、家来になって!」


 犬と猿を連れた少年はそう言った。


 聞き間違いかえ?


 そう思うも、犬と猿が首を振るのだから違うのだろう。

 彼は鬼ヶ島に行き、鬼を懲らしめるのだと言うのだ。


 無謀極まりないと思うも、彼は本気のようで。

 心配ばかりで放っておけない。


 きびだんごが欲しいのは山々だし、私でも力になれるのであれば。


「ケーンケン! 連れて行っておくれ!」


 こうして雉は桃太郎の家来になった。



─ 鬼退治後 ─


 桃太郎強すぎん!?!?


 三匹全員が心の中で思ったそうな。

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