第37話 幕 むかしばなし

 むかしむかし、あるところに小さな男の子がいました。その子はアリを捕まえてムカシゴで飼い始めます。ところがアリはすぐに死んでしまいました。


 あくる日、男の子はムカシゴに土を入れてからアリを捕まえてムカシゴに入れました。今度は前よりも少し長く生きましたが、結局は死んでしまいました。


 またあくる日、男の子はムカシゴに土を入れて、アリをいっぱい捕まえてみました。アリは長く生きましたが、共食いをしていました。


 そこで、男の子は悩みました。どうすればうまくアリを飼えるのだろうかと。男の子はしばらく悩んだ後、友達に聞く事にしました。


「ねぇねぇ、アリを飼いたいんだけど、どうやってもうまく飼えないんだ。どうしたらいいと思う?」


友達はう〜んと唸りながら考えて答えました。


「エサをあげればいいんじゃないかな?」


「なるほど、エサだね!!ありがとう」


男の子は目からうろこが落ちた気分でした。


「そうだ、そうだった。生き物には食べる物が必要だったよね」


 男の子は、ムカシゴに土を入れ、アリをいっぱい捕まえてから、最後にエサを入れました。そうすると、あら不思議、アリはエサに群がり、共食いすることなく、アリの巣がどんどん、どんどん大きくなっていったのです。男の子はその様子にとても喜び、そのアリの巣を大切に育てました。


友達が教えてくれたことは、本当だったのです。


でも、男の子はアリのエサになったモノ達のことは、ちっとも考えていませんでした。


男の子は、アリを飼いたいという思いでいっぱいだったのです。


これはそんな男の子のむかしむかしのおはなしです。

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