第14話 ビーチランド1

 今日は7月30日プールへ行く日である。

 俺とあらたは、宿題を終えてしまっていた。

 今は午前、それぞれ参考書で勉強をやり、午後、二人の参考書を取り換えて、相手が午前中やった分までやる、そして入浴後、日中、勉強したところで分からないところやつまづいたところを教え合うという方法でやっている。

 しかし、理解力で劣る俺は新に教えてもらっている状態である。

 今日の午前中は、自分の苦手な部分をそれぞれ勉強している。

 駅に12時集合なので、早めに昼食を食べ、早めに出かけることにする。

 駅についてしばらくすると克樹かつきが来て、直ぐに静香しずかも来て4人揃う、駅で待っていると多くの人が俺たちを振り向いて行く、特に男性が多い。

 列車に乗るとひそひそ聞えてくる

   「あの4人組の女の子かわいくねー」

   「一人きれいな子いるよね。」

   「男の子もちょっとかわいい、一人はバカっぽいけど。」

俺はバカですよ、バカっぽいですよ。

 静香が新に話しかける

   「新、水着買った?私、新調しちゃった。」

   「私もよ、胸が入らなくなって、新しいの買ったわ。」

付近の男性の視線が新に集中する。

 あるカップルがけんかを始める

   「あんた何見てるのよ、よその女の子の胸見ちゃって。」

   「気のせいだよ。」

   「私の胸、小さいから、よそに目が行くんだわ、もう帰る。」

女性が泣き出す。

 車内は静かになる。

 新さんあなたの胸は凶器です、俺はワンピースでも危ないと感じる。

 駅に着くと、千鳥ヶ浜とどりがはまビーチランド直行のバスが出ている。

 バスは何事もなくビーチランドに着いた、乗客は家族連れ、アベック、友達同士で3等分くらいである。

 更衣室で着替えていると克樹が

   「お前中学の時の海パンじゃないか。」

   「ああ、水着買わなかったんだ。」

俺はよく覚えていたなと思う、紺に黄色ラインの海パン2,3回しか履いていないのだが

   「克樹は買ったのか。」

   「ああ。」

と言って、俺に見せる白地にオレンジのヤシ模様である

   「派手だな。」

   「そうかな。」

と克樹が履くと意外と似合っていた。

 俺たちは着替え終わって外で待っているとまず新が出てきた。

 黄色いワンピースにパレオがついているがダイナマイトボディは隠しようがない、克樹が

   「奇麗だな。」

と言う、俺はぼそっと言う

   「新、最初、ビキニ選んでいたよ。」

克樹は急に赤くなり顔を伏せる。

 新が俺たちの所に来るまでに1組のアベックが犠牲になる。

 俺の目線の先では子供を抱いたお父さんが鼻を伸ばしている。

 静香が恐る恐る出てきた赤いビキニで黒い縁取りがある露出度が高い

   「おかしくない、たまる。」

   「かわいいよ。」

正直に答える、すると新が

   「ビキニは早いって言ってなかった。」

俺は

   「新はワンピースが似合うんだ。」

   「その通り新はワンピースの方が可愛いよ。」

克樹も必死だ。

 俺の目の前で、さっきのお父さんが耳を引っ張られていく、たぶん奥さんだろう。

 俺たちのプールは波乱はらんの幕開けをする。




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