第8話 新の目的

 俺と新とのいつもの予習復習が終わった後、あらた

   「私の部屋に来て。」

と俺を誘う、もう11時を回る時間だ、俺はよこしまな考えをちょっとしてしまった、ちょっとだけだぞ

   「うん。」

と答え、新の部屋へ行く、女の子の部屋に入るのは初めてだ。

 新の部屋は机と本棚とベットだけだった、女の子の部屋は質素しっそなのか、新が特別なのか分からない。

 本棚には学校の本と何やら難しそうな本がある。

 新は机の上のノートパソコンで、図や表を使って説明を始めた。

 それは起業についてのプレゼンテーションだった。

 新は

   「どう思う。」

と聞いてきた、俺は正直言って驚いているところだ

   「本当に起業するのか?」

   「そうよ、たまると一緒に」

   「これ、誰かに話した?」

   「いいえ、たまるだけよ、内緒にしてね。」

   「今は話が大きすぎて、それに社会に出てからの話だろ。」

   「いいえ、実現できる話よ、それに大学在学中に起業するわ。」

   「そのパートナーが俺?」

   「そうよ。」

   「克樹かつきの方が頭いいしうまくいくんじゃ・・・」

新の目に殺気が宿る

   「うそ、うそ、とにかく考えさせてくれ。」

   「なら、夏休みまでに答えを出して。」

   「ダメだったら?」

   「私、出て行く、二度とたまると会うことないと思う。」

   「どうして?」

   「私の人生がかかっているからよ。」

俺は夏休みまでに選ばなくては、いけなくなった、静香しずかと新とも中途半端な立場ではいれない

俺は将来を大学出てサラリーマンになって結婚して家庭を持って・・・

平凡へいぼんな人生しか考えていなかった。

 そこへ、新の申し出である、正直、魅力的である。

 しかし、新と人生を歩むことは、静香と別れることを意味する。

 俺は選ばなくてはならない、どちらをとっても地獄が待っている。

 克樹お前の言う通りだった。

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