せっかくなので異世界転生したいとお願いしたら、何故か女神様のもとで働くことになりました!
@yaminabe4
第1話 死にました。
「う、うーん。唐揚げ、唐揚げがぁ」
「どんな夢見てるんですか」
「はっ!」
あれ?
目が覚めると、目の前に美少女がこちらを覗き込んでいた。後頭部には柔らかい感覚。つまり、膝枕だ。俺は、美少女に膝枕されているのだ。
なるほど。夢だな。
「おやすみ」
「寝るな」
ここで美少女からのチョップが入る。
完全に意識が覚醒した。
どうやら痛みからして、この光景は夢ではないらしい。
俺が頭をさすりながら名残惜しくも体を起こすと、美少女はやっとかと言わんばかりに大きくため息をつき立ち上がった。
「やっと起きたんですね」
いかにも面倒臭そうに少女は言った。
声と顔に反して、その立ち姿は少し大人びている。髪は金髪、瞳は深い青色。国民的アイドルといっても通用しそうな容姿だ。
俺とは同い年かそれ以上…最高でも大学生ぐらいだろう。
これでも十数年生きてきた身だ。女の子の年齢は見誤りはしないぜ!
「私は女神リリス。この世界の頂点に位置する神の一角にして、この宇宙を統治する管理者です」
人間ですらなかった!
「私だからよかったものの、次は女性の前であんなことを考えちゃダメですよ。神様は人の心を読むことなんて朝飯前ですから」
心まで読まれてた!
「恥ずかしい…」
「…」
リリスさんがこちらを微笑ましそうに見つめている。
こんな見た目幼女に人として当たり前のことを教えられるなんて…控えめに言って死にたい…。
「あ、それなら問題ありません」
「また心読まれた…」
すごいな神様って…俺もなれたりしないかな。
「ていうか、問題ないってどういうことですか?」
「ああ、えっと」
リリスさんが少し悩んでから手を2度叩くと、何もない空間から突如書類が山積みの仕事デスクが出現する。
そこから、リリスさんはその紙束を崩して漁って、その中から一枚の薄っぺらい紙を探し出すと、こちらに手渡してきた。
俺が紙を受け取ると、リリスさんはまた2度手を叩き、デスクを消失させて代わりに二組の組み立て式の椅子を出して座り、こちらへ目配せしてきた。
座って読め、ということらしい。
紙は片面印刷で、どことなく就活時の履歴書を思わせるようなデザインになっている。
プリントの左端には俺の指名や顔写真が貼り出されており、さらにその下には、俺の全ての個人情報が記載されていた。
大事なことなのでもう一度言おう。
俺の全ての個人情報が記載されていた。
ほお?
俺の家族構成、クレジットカードの暗証番号、初恋の相手、etc。
俺の人生の全てと言っても差し支えないほどの情報量がそこには記載されていた。
「あの、すいません。これってどういう…」
困惑した俺を手で遮って、リリスさんは神の1番下に記載されていた文字を指さす。
そこには小さな文字で『死亡』と書かれていた。
「え?」
何度読み返してもその文字は変わらない。俺のこれまでの経歴は、ある一段で締められ、それ以降は空白になっている。
「これは…?」
目の前に座った女神は、残念そうに顔を伏せ、俺に言った。
「
せっかくなので異世界転生したいとお願いしたら、何故か女神様のもとで働くことになりました! @yaminabe4
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