第5話倭国の侍
僕達がこの街にも慣れてきた頃。
ある時ギルド長のダンさんから依頼がきたのです。
その時、部屋でゆっくりしていたんだけど。
らいとが突然僕の部屋に入ってきたんだ。
「みら!おはよう!」
そしてらいとは僕に話かけてきた。
「みら!実はさ、ギルド長からの依頼きてさ!」
「この手紙を渡されたんだ!」
らいとはそう言うと、僕に手紙を見せてきた。
「手紙?読んでみてよ?」
僕がそう言うとコホンと咳払いをしてらいとは手紙を読んでくれたのでした。
『僕の命とも言える刀を探して欲しい……』
「刀?……ってあの刀かな?」
僕はやっぱり日本人だし、やっぱり侍を思い浮かべてしまう。
「だろうな?ギルド長の話では、今日の正午に、ここに話をしに来るってさ。だから準備して待ってようぜ!」
らいとはそう言うと戻っていきました。
僕は眠かったけど返事をして仕方なく起きて来客用の部屋の準備を始めました。
そして丁度正午に、依頼人は来たのでした。
ピンポーン!
玄関のチャイムがなり僕が迎えに出たんだ。
そこに立っていたのは。
小柄で華奢な侍というより小学生って感じの姿の少年。
「頼もう!!ギルド依頼をした者だが訪問に参った!」
「いらっしゃいませ中へどうぞ」
本当に侍だ!!という言葉を抑え丁寧に挨拶をし中に通したんだ。
「散らかってるけど、どうぞ!!!」
らいとは奥の部屋からそう叫んでくる。
「散らかってるのはらいとでしょうが!」
僕がそう言うと部屋かららいとが顔を出した。
「あ?そうだった」
らいとはそう笑いながらお侍さんに向かってお辞儀をした。
「もぉー!あ、どうぞ。」
そして僕はお侍さんを居間に通すと僕達も座り話を聞くことにしました。
お侍さんはソファーに腰をおろすと。
「初めまして!こんにちは!」
「僕は倭国の侍、沖田蘭丸といいます!」
沖田さんは僕達にまずは自己紹介をしてくれた。
僕は思わず笑いが込み上げてきて言ってしまう。
「この子が侍?笑笑」
「そう…みたいだな………ぷッ……」
らいとも笑いながら言う。
沖田さんは顔を真っ赤にして叫んだ。
「笑うな!!」
僕は笑いをこらえて話を聞くことにする。
「コホン…ごめんなさい。」
「えっと…あなたが沖田さんですね?」
「僕がみらで隣のこいつが…」
「らいとだ!よろしく!!」
らいとも笑いを堪えて挨拶する。
「じゃあそこにおかけください」
僕は沖田さんに腰を下ろしてもらい話を聞くことにした。
そして沖田さんは語り出した。
「ありがとう。では……ん、じゃあ早速本題に入っていいか?」
「はい。ではよろしくお願いします。」
僕達は沖田さんの話を聞く。
「実はな…ギルドに依頼したのは…」
沖田さんは続ける。
「僕は侍で色々旅をしてるんだけど実は…」
「この街にきて…その……」
沖田さんはそこまで言うとじっと黙る。
「んん??なんだ!?はっきり言え!」
らいとがそう促すと沖田さんは言葉につまる。
「わかってるよ…えっと、その……」
「何があったのかな?」
僕も聞いてみる。
すると沖田さんは、言い出しづらそうに言葉を話し出す。
「実はな!侍の命とも言える刀を…」
沖田さんが一瞬ため息をつき。
「無くしてしまったんだ………」
僕達は顔を見合わせ驚いてしまった。
「え??」
「えええっ!?」
僕達は驚きを隠せずにいると…。
沖田さんは急に大声を出し。
「そこでだ!」
僕とらいとは沖田さんの話に食い入っている。
「お前達に刀探しを…一緒にしてもらえないかと……」
沖田さんは、真剣な顔で僕達の目をしっかりと見て返事を待った。
「なるほど!それがお前の依頼か……」
僕が手紙の内容を見返していると。
らいとが僕より先に沖田さんに声をかけた。
「僕達、物探し得意だしやらないかな?」
僕がそう言うとらいとは、頷いて答える。
「まあな……よし!じゃあ沖田くん!」
「引き受けるぜ!」
こうして、らいとと僕は沖田さんの依頼を引き受ける事にしたのだった。
「ありがとう二人とも!………あ!僕の事はランとでも呼んでよ!」
僕は快く返事をする。
「わかった!ラン!よろしくね!」
「ランよろしく!」
早速らいとはそう言うと準備を始めている。
「じゃあ…無くしたと思われる場所に行ってみようか?」
ランも笑顔で僕達に声をかける。
「じゃあ着いてきてください!」
そして僕達はこの街の中央にある噴水のある公園に向かうのだった。
ここは街の豊かな象徴のシンボルで虹がよく見える事で有名だ。
この街の住民の憩いの場所である。
公園に着くとランは僕達に説明しながら歩いていく。
「まずこの公園に入ってきた所までは刀はあったんですよ……」
「そして、あの噴水を通り抜けて…」
僕達はランの話を聞きながら、後ろを着いていく。
「お昼食べれる所を探しながら、ウロウロして…」
「最後は…」
「あそこのベンチに座って」
「お昼ご飯を食べてて……」
ランは大筋の説明が終わると考えこんだ。
「でも、本当にいい公園だね?」
「そうなんだよね、だから僕もここでお昼を食べたかったんだ。」
僕は思わずニンマリしてポカポカしてきた。
先を歩いていたらいとが声をかけてきた。
「そのベンチの周りに何かあるかもしれないし。」
「あの辺りを調べてみようぜ!?」
らいとが提案するとランも共感してくれる。
「そうですね!じゃあ行ってみましょう!」
ランはそう言うと僕達の前を歩き出し。
しばらく歩くと突然ランが何かにつまずき思い切り転んだのでした。
「うわっ!?」
その光景は小さな物につまずいたと言うより大きい何かにぶつかって…感じで転んだのでした。
「ラン!大丈夫??」
僕はびっくりして…本当に不思議な光景だったんだ。
「何も無いとこで転ぶなんて…」
不思議そうに見ているとランが叫んだ。
「いや!!そこに、何かいる!!」
ランがそう叫ぶとらいとも不思議そうに見てる。
「ん?何も無いじゃねぇか。」
数秒後、らいとは何かを感じたようだ。
僕と一緒にこの世界に転移してきたらいとは野生の勘が鋭いのだ。
「ん?!まてよ…」
「確かに何か感じるな………」
らいとは何かを思い浮かんだようで僕に頼んできた!
「みら!そこにお前の生活魔法のペイントを使ってみてくれないか?」
「う、うん!わかった!」
僕はそう言うと集中する。
僕の身体は光りだし魔力が溢れてくる。
「生活魔法『ペイント!!』」
僕の手から紫色の液体が飛び出し目の前にある何かを着色していく。
「あっ!?あれは落ち武者!?透明化できるのか!?」
ランは言いながら身構える。
着色した何か。それは落ち武者というモンスターだった。
髪は河童のようで頭頂部が皿のように髪がなく、顔はゾンビのように緑色の顔色。
鎧を身に纏った戦に出た兵の姿だった。
らいとも身構えている。
「落ち武者!?めっちゃ暴れてんじゃん!!」
落ち武者はランがぶつかった事で怒り暴れているみたいだ。
「らいと!落ち武者が凄い勢いで刀を振りまわしてるよ!?」
僕はそう言うとらいとも落ち武者をじっと見ている。
「なんだあれ?」
そんな中ランは何かに気づいたようだった。
「あれは!!僕の『菊一文字則宗』だ!?」
僕はその刀の名前に聞き覚えがあった。
「…沖田総司の愛刀で有名な…」
「ええっ!?じゃあ、あれがランの刀?」
僕はびっくりした。
「菊一文字則宗…本物なの…かな?」
僕は新撰組が好きで沖田総司も好きなキャラだった。
1番は斎藤一なんだけどね。
それで愛刀の名前も知っていたのだった。
まさかランの刀も同じだったとは。
そしてランは、何かに気づいた。
「あれは…僕の力を吸い取っている…厄介になっていってる!!」
「思い出した!」
「この公園に辿りついて、ベンチに腰かけて刀を立てかけて置いてて…」
「ぼーっとしてたら…無くなったんだ!!」
隣のらいとを見るとそういう事かと納得したみたいだ。
「って事は…落ち武者に取られてたんだな!」
「そうみたい…だね!!」
ランを見ると凄く焦っている。
「取り返さなきゃ!!二人とも!あの刀を取り返してもらえないかな?後は僕がやるから…」
らいとも僕も顔を見合わせて頷く。
「みら!じゃあ頼む!!」
「おっけー!」
僕は魔法を唱える。
『クラフト!チェーン!』
僕の光った両手から硬度の高い紙の束が飛び出し落ち武者を縛り付ける。
「よし!これで落ち武者を拘束したよ!」
僕が振り返るとらいとは落ち武者に向かい駆け出した。
「いくぞっ!よし!」
らいとは落ち武者の刀を避け腕を掴み刀を奪うのだった。
「うおぉぉぉ!!………刀を奪い取ったぜ!!」
そしてランの元へ刀を放り投げた!
「おらぁっ!!いったぞ!ラン!とれよ!!」
らいとの投げたランの刀は弧を描いてランの元へ飛んで行った。
「ナイスコントロールらいと!」
僕はそう言うとランの刀を眺めてる。
そしてランはガッチリ自分の刀を掴んだのだった。
「よし!!もう…離さないぞ!」
ランは刀を握ると刀に話しかける。
ランは声も低い低音になり雰囲気も大人びて…。
「ん!?なんか声と雰囲気も変わった…」
僕がそう言うとらいとも同じ事を考えてるようだ。
「刀を握ると人が変わるのか…」
ランは落ち武者に向かい叫ぶ。
「いくぞ!落ち武者!!」
「僕の刀には風が宿るんだ!!」
ランの身体の周りに風が巻き起こりランの魔力は上がる。
「はぁぁぁぁぁ!!」
『天然理心流!!烈風陣!!』
ランは風に包まれ風となり落ち武者を切り刻んだ。
僕とらいとはランの技をじっと見ている。
「凄い……」
「これが侍か!!」
らいともランの技を見て立ち尽くす。
ランの技が終わるとランはため息をもらした。
「でも、僕の刀の力を、吸い取ってたから…一撃で仕留められなかったな…」
「よし!!後はトドメを頼んだ!!」
ランは、らいとにトドメをさすように頼む。
「じゃあいくぞ!!」
「くらえ!落ち武者!!」
らいとは集中すると身体に電気を帯びている。
そしてらいとは叫ぶ。
『サンダーボルト!!』
らいとがそういうと落ち武者に無数の強力な雷が落ち武者に落ち焼き尽くして落ち武者は消滅していった。
「やるではないか!!お主!!」
「しかし強力すぎる雷だったな…」
ランが感心してるとらいとはボーッとしながら自分の両手をまじまじと見ていた。
ランがらいとに声をかける。
「ん!?どうした?」
「?!なんかすげぇ力みなぎってきてる……」
僕もらいとの異変に気づいた。
「どうしたの?らいと!?」
らいとは気がついて笑顔を僕に向ける。
「あ、ああ…なんでもない!」
刀が戻ったランが僕達に。
「ありがとう二人とも!!」
「この公園にきて、お昼食べててボケてたみたいだよ!」
「本当にありがとう!」
ランは僕達に笑顔で返す。
「いえいえ!気にしないでください!」
僕はそう言うとらいとはランに興味津々で。
「ラン。質問いいか?」
ランは笑顔で答える。
「はい!なんでもどうぞ!」
「ランの故郷の倭国ってのはどういう文化なんだ?」
ランはゆっくり話し出す。
「倭国か、一言でいうと島国ってやつかな。」
「俺のような侍がいて色々な人もいるけど」
「四季という季節があり…それは美しい国だよ!」
らいとはそっかぁという顔をしている。
「俺達がきた世界の日本という文化に近いな。」
僕もその話に続くように。
「そうだね、僕達が来た世界は本当にそんな国なんだ。」
ランも笑顔で答える。
「それは本当か?嬉しいなそれは共感してもらえるのは嬉しい事だ!」
「いつか僕の住む国、倭国にも遊びに来るといい!」
らいとはランに。
「いつか……行くよラン!!」
「そうだね!行こうね、らいと!」
僕も倭国にいつか遊びに行きたいな。
こうしてランの刀は無事取り戻す事ができました!
めでたしめでたし……っと。
ランが挨拶をして立ち去ろうと歩き出すと。
「あっ!?」
らいとが思わず声に出した。
「いてて……刀落としちゃったよ」
刀を落としたランはショタに戻りドジっ子になってしまった。
「刀大事にしろよ!」
らいともランに笑いながら叫ぶ。
「気をつけていくんだよ!」
つられて僕も笑顔でランに叫んだんだ。
別れ際ランは照れながら僕達に…。
「すまない!」
「じゃあいくね!またね二人とも!」
こうしてこの世界の侍、ランとの出会いと別れを僕達は過ごしたのだった。
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