第4話旅の演者

僕達は家も確保し何かあった時の為の医者も確認できたし…。

落ち着いて生活を始める事ができました。

ある日、僕達は、いつもの様にギルドの仕事を終え帰っていたんだ。

僕達が歩いていると街角に公園があり、

そこで1人の女性を発見したのでした。

「どうしたみら??」

立ち止まった僕にらいとが声をかけてくる。

僕がそちらを見ると僕と目が合った気がした。

「あ!あの子さ?何かこっち見てない?」

僕がらいとに言うとらいとも気づいたみたいだ。

「何かあったのかな?声かけてみるか?」

「そうだね?何かあったのかも!」

僕達は彼女の元へと向かった。

彼女は透き通った青いドレスのような服でお嬢様を思わせる様な姿をしていてとても綺麗な人だった。

僕達がたどり着くと女性は声をかけてきた。

「あの……すみません……」

「えっ!?」

らいとが彼女を見るなりらいとは固まってそのまま倒れてしまった。

「えっ?どうしたの?らいと!?らいと!?」

僕がらいとに声をかけていると……

慌てて彼女が語り出す。

「彼が倒れてしまったのは私のせいです。」

「えっ?どういう事ですか?」

僕は彼女の話をとりあえず聞くことにした。

「本当にごめんなさい。」

彼女は僕に謝ると、うつ向き話を続ける。

「私の名前はユリアっていいます。」

「この街に今お芝居して旅をしてる劇団が来ているの知ってますか?」

「ギルドでそんな広告を見たかも知れないな…」

そう僕は、この街に旅劇団が来ているのをギルドの広告で見かけた気がする。

「私は、その劇団に所属してるのです。」

僕は彼女の話を聞くことにした。

そしてユリアさんは震える声でゆっくり語り出した。

「はい…実は……私の生まれつき持っているスキル『魅了(チャーム)』というのは…人を虜にするスキルなのですが。」

「私のスキルが最近暴走していて、お芝居していてもお客様が私の力で倒れていったり、私に怖いくらいの熱烈なファンができたりで…どうしたらいいかわからなくて……泣」

僕は悲しそうな顔をしてるユリアさんを見て答える。

「なるほど…ユリアさんの力でらいとも………」

「さっき私はここで演技の練習をしていたんです。」

「お二人が来てくださり私の力でらいとさんも倒れてしまったのです。」

そう言うと彼女は謝った。

「本当にすみません。」

僕はユリアさんに言う。

「いえ!謝らないでください。」

「大丈夫です!まずはらいとを起こしますね!」

僕はらいとに近づくとらいとを揺さぶる。

「らいと!!ねぇ!らいと!!」

「んっ!?みら!?みらか!?はっ!!」

らいとは震える声でやっと起きたのでした。

「起きた?らいと??」

「ああ…起きたみら!さんきゅ!」

「ふふっ…お二人の絆…強いんですね。」

ユリアさんは笑顔になり話してくれた。

「そ!そんな事は!?」

僕は急に言われてドキドキしてしまった。

「ふぁぁ!よく寝た!!ん?なんだみら!顔あけぇぞ笑」

「う!うるさい!とにかくユリアさんのお話聞こうよ!」

僕達は改めてユリアさんの話を聞くことにした。

「ありがとう二人とも……」

こうしてユリアさんは改めて説明してくれた。

「ユリアさんの力の暴走を止める方法かぁ。」

僕がそう言うとらいとも答える。

「なるほど!ユリアさんの力で俺も魔法にかかったのか。……でも、じゃあ魔法研究所ってとこでも行ってみないか!?」

「うん!いいね!魔法研究所!」

という事で、僕達はこの街の魔法研究所に行く事にした。

この街の魔法研究所は遥か昔、この街が出来た頃からあるらしく魔法に長けた老モンスターがいるらしい。

ギルドでそんな情報を得ていた僕達は、魔法研究所に向かったのでした。

「ここだね。魔法研究所…」

「入ってみようぜ!!」

ユリアさんも着いてきて一緒に中に入るのでした。

一瞬修道院のように見える外観の魔法研究所。

古い建物ではあるがそれでも綺麗に整備された建物だった。

そして中に入っていくとそこには1匹のモンスターがいた。

「お主たち!何用じゃ?」

魔導士と呼ばれるモンスターが僕達に声をかける。

ローブを身にまとった年老いた魔導士。

だが、その素性はこの街で数百年魔法を研究し続けている、この国の王からも信頼のある聖なるモンスター魔導士らしい。

「こんにちは!僕達はこの世界に異世界転移してギルドで働くみらいとらいとと言います。」

「今日は話を聞いて欲しくて来ました!」

僕は老モンスターに話すと老モンスターは僕達をジロジロ見渡し話す。

「わしの名は魔導士ルードラ!」

「この街の太古の大魔導士ルーファスの末裔じゃ。」

僕達はルードラの話を聞いて驚きを隠せないでいた。

「じゃあ、あんた凄い魔導士なんだな!」

らいとは相変わらずの話し方でルードラに言う。

「あわわ!らいと!失礼だよ!?」

僕がらいとに言うとルードラはフッと微かに笑い言う。

「まあ良い。」

「お前達、ワシに、何か聞きたいことがあって来たのじゃろう?」

ルードラは僕達の事を何かを察したかのように言ってくれた。

僕はユリアさんに直接話してもらうことにした。

「こんにちは!初めまして!私、旅の演者でユリアと言います!」

「これは綺麗な人間だのぉ。」

ルードラは感心しながらユリアさんを見ている

僕はコホンと咳払いをするとルードラは黙って聞く。

そしてユリアさんは話し始めた。

「…実は私のスキルは『魅了』なのですが最近この力が暴走してしまいまして…劇の公演中にもお客様が次々に倒れていくという始末で……もう…どうしたらいいか………」

ルードラは話を聞き終えると話し始める。

「ふむふむ……力の暴走か……」

僕はルードラに質問する。

「何とかならないのかな?」

「ならない事もない……」

「本当ですか??」

ユリアさんは食い入るように聞く。

そしてルードラは語る。

「ああ……簡単に言うとその声にスキルの魔力が重なって魅了が働いてるのだろう…簡単に言うと声を出さなければ…って事だが……」

「!?そんな………」

ユリアさんは驚きと落胆の顔を浮かべる。

「他には?!なにかないの?」

僕はルードラに聞くと。

「そうだな最悪…声をとるか…スキルをとるか…だがな。」

ルードラはため息をつきながら言った。

僕はルードラに質問を続ける。

「スキルって持って生まれたものではないの?」

ユリアさんも困って言う。

「そうよね……持って生まれたものはどうすれば……」

ルードラは何かを思い出したかのように。

「西の森の中に妖精の集まる花畑があると聞く。その妖精の歌に魅了される者もいると聞く。妖精に尋ねてみれば何かしらヒントがあるかもしれぬ。行ってみるが良い。」

ルードラはそう言うと僕達に地図をくれた。

「ありがとう!ルードラ!」

ユリアさんは期待に満ちていた。

僕も少しほっと胸を撫で下ろした。

「何かあるかもしれないしね?」

僕はらいとに話しかける。

「行ってみなきゃわかんねぇな!」

らいとも共感してくれる。

ユリアさんはルードラに力ある声で答えた。

「じゃあ、そこへ行ってみます!」

そしてルードラは帽子を深くかぶり話す。

「どうなるかはわからんが、健闘を祈る。」

「ありがとうございました!」

ユリアさんがお礼を言うと僕達は早速西の森へ向かうのだった。

「西の森ってそんなに離れてないんだね?」

「思ったよりも近くみたいだな?」

僕とらいとがそんな話をしながら歩いていると

……

「お二人共!本当に私の為にありがとう!」

「大丈夫です!ユリアさんの未来をつかみましょう!」

僕がそう言うとユリアさんは笑顔になってくれた。

らいともニコニコ笑顔だ。

そして……

西の森到着。始まりの街から1番近い西の山、ウエスマウンテンの麓に広がる森で、入口付近は誰でも入れそうな森だが、奥にはこの街の神が祀られてるそうで、奥へは入る事を許された人しか、開かれないない森である。

「ここが西の森か…ここの奥に妖精の花園があるのか……」

流石のらいとも緊張してるのかそう言いながら話しかけてきた。

「奥には入れないと言うけど妖精さん出てきてくれないかな……」

「妖精は……私達を受け入れてくれるでしょうか……」

らいともユリアさんも緊張している。

僕が元気を分けなきゃだ!

「きっと大丈夫だよ!まずは行ってみようよ!」

そして僕達はどんどん森の奥へと入る。

「もう少し……かな………」

そしてらいとが立ち止まる。

「ん?なんか僅かな気配がするぞ……もしかして妖精か……?」

らいとの感はいつも鋭い。

「えっ?!!」

ユリアさんが身構える。

僕達の歩く先には大きな花畑があった!

「うわぁ!!綺麗!!!」

「すごい綺麗……」

僕もユリアさんも思わず声が出る。

「ぉぉお!!すげぇ……」

らいとも遅れて言う。そして。

「ん?あ!あれは?!」

「妖精さん??」

ユリアさんも妖精に気づいた。

「妖精いるけど話せるのかな………」

僕は妖精の言葉なんて分からない。

「こ、こんにちは!?」

らいとが声をかけると妖精さんは震えてる。

「怯えてるみたい……」

ユリアさんがそう言うとユリアさんはそっと目を閉じる。

「あ!心に言葉が聞こえてくる。」

「私達は…この花畑で遊んでるだけだからここを荒らさないで欲しいだけって言ってるみたい…?」

僕とらいとには聞こえないけどユリアさんには聞こえてるみたいだ。

「ユリアさんは聞こえてるんだ?」

「ユリアさん!魔法、スキルの事相談してみたらどうかな?……」

らいとがそう言うとユリアさんは集中する。

「うん…うん…そうね……貴女達の花畑は荒らさないわ…大丈夫よ!私達は帰るからね… 」

らいとは思わず口にする。

「い…いいのか?ユリアさん……」

「……………ユリア?さん?………」

僕もユリアさんを見守る。

そしてユリアさんは語り出した。

「妖精さん達はずっとずっと前から花畑を一面に広げて楽しい毎日を過ごす事だけを楽しみに生きてきたのに。いつの間にかこんな小さな世界でしか暮らせないようになって………そうね……辛かったよね………泣……うぅぅぅ………」

ユリアさんが妖精の言葉を理解し涙を流した。

「ユリアさん!?妖精と話せてるのか……」

「そうみたい…だね……泣いてる………」

僕とらいとはユリアさんを見守る。

そして、妖精さんが数人ユリアさんを取り囲みユリアさんの頭上を楽しそうに飛びながら周りながら舞い始めた…

何度も回っていると妖精さん達からキラキラした光がこぼれはじめユリアさんを優しく包み込む………

そしてユリアさんは……

「ん?………あ!?なんか暖かい……力ごと私を包み込んでくれる………ん………眠く………」

「ゆずさん?眠ってしまった……」

らいとは呆然とユリアさんを見ている。

「ユリアさん?ユリアさん!?」

僕はユリアさんに声をかける。

そして数分後……

「ん……んん?あれっ?ここは??」

やっとユリアさんが目を覚ましてくれました。

「妖精さん達いなくなっちゃった…お花畑も無くなってて………」

1番先に目を覚ました僕はユリアさんに伝える。

「えっ?あ!私の力溢れなくなった……」

ユリアさんは笑顔になっていく。

「そうなの??じゃあ俺達相手にちょっとお芝居してみてよ……」

らいとが提案するとユリアさんは笑顔で答える。

「ええ!2人共!見ててね!」

ユリアさんのお芝居はそれはそれは楽しくて…僕達に楽しく素敵なお芝居を見せてくれた。

らいとは思わず口から出る。

「ユリアさんの演技あの時は気絶したけど今は心から楽しめたぜ!」

ユリアさんは満面の笑みを浮かべ心から喜んでくれた。

「本当によかったね、ユリアさん!」

僕も嬉しくなりユリアさんに答える。

そしてユリアさんは僕達に声をかける。

「ありがとう2人とも!力をコントロール出来るようになったわ!」

「あの妖精さん達のお陰ね!もちろん2人のお陰でもあるわ!」

そして僕はユリアさんに言う。

「ユリアさんの演技また見に行きますね!

そして笑顔のユリアさんが言った。

「いつでも待ってるわ!」

ユリアさんの演技、いつまでもいつまでも見ていたいなって思った!

ありがとうユリアさん!

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