第3話マッドサイエンティスト

ギルドの依頼をこなし始め一週間がたった。

毎日一緒に初級依頼をしていて、この世界に少しずつ慣れてきた気がする。

ある日僕達が依頼を終えた時の事だった。

「はぁ…はぁ…… はぁ………」

らいとが肩で息をしている。

「らいと大丈夫?やっぱ、負担大きいよね?」

らいとのスキルはらいとの身体に負担がかかるみたいだった。

「気絶まではしなくなったけど、やっぱりきついわ。」

僕の生活魔法は少量の魔力ですむみたいなんだけどらいとのスキルは放出系でその分体力と魔力が大きく消耗するみたい。

「そうだよね…身体にも負担大きそうだし、一回相談してみない?先輩達とかにお医者様とか紹介してもらおうよ?…心配だからさ…。」

らいとは息を整えて提案してきた。

「じゃあちょっと、ダンさんにでも聞いて医者に行ってみるか。」

「そうだねらいと?早めに行こうよ!」

僕達は帰りにダンさんのいるギルドへ向かったのだった。

ギルドに入ると相変わらず声も身体も一際大きいダンさんが受付の方と話していたのでした。

「ダンさん!こんにちは!」

僕達が挨拶をするとダンさんは笑顔でかえしてくれる。

「おお!帰ったか?お疲れ様!」

「お疲れ様ですダンさん!」

そういうとダンさんはらいとの顔を見て言った。

「お?どうした?らいと君顔色が悪いな…」

「ああ…俺の能力が強すぎてまだ身体に負担が………」

ダンさんはふむという顔をすると僕にも聞いてきた。

「みらい君は大丈夫なのかね?」

「僕の生活魔法はほとんど魔力を消費してなくてまだ今の所は大丈夫です。」

「そうか?ならみらい君は良しとして、らいと君にこの街のドクターを紹介しよう!」

「ありがとうございます!!」

僕達はお礼を言うとダンさんにこの街のドクターを紹介してもらうのだった。

「やっぱり専門のお医者様がいるんだね。週末に行く?」

「あぁ。着いてきて。」

らいとが本当に辛い様で僕に頼るなんてね。

「もちろんだよ」

こんな時こそ僕がらいとについていてあげよう。

そして次の日、、、、

今日もいつも通り依頼をこなし報告しにいこうとした…ちょうどその時、街にモンスターが出た…という情報が耳に入ったんだ。

「くそー。こんなときに…俺もう動けねぇぞ。」

「いいよ!後は僕に任せておいてよ?」

「くっ……仕方ねぇ。そのモンスター探しに行くか…」

こういう時こそ僕がらいとを守る番だ!!

僕はそう思い現場に向かうのだった。

僕達が現場に到着すると、そこにはそうそうお目にかからないと言われるモンスターが暴れているのでした。

「あれは?」

「キメラ……か??」

「なぜこんな所にキメラが出てくるんだ?」

そう、キメラって言うのは自然界に存在しないと言われる希少モンスター!

こんな所に現れるなんて……

僕はドキドキ震えてると後ろから肩を叩かれる。

「みら?大丈夫だ!一撃で決めるからその後頼んだぜ。」

「わ……わかったらいと……」

結局あいつを倒すためには2人の力じゃないと厳しかった。

「はぁぁぁっ!!」

らいとがキメラとの間合いをとってキメラの注意をひきつけている。

その間に僕はキメラを足止めする魔法を詠唱する……

そして……僕の生活魔法を放つ!!

「生活魔法!!クラフト!スパイラルネット!!」

僕のオリジナル魔法ネットはキメラに覆いかぶさりキメラは動けなくなった。

「よし!いくぜ!キメラ!!」

らいとは言い放つとらいとの身体は電気がバチバチ帯電していく。

「はぁぁぁっ!!スパーク!!」

らいとの手から雷が放たれキメラを捉える!

ぐぁぁぁ!!っというモンスターの叫びとともにモンスターは電に焼かれ焦げて倒れる。

ズシーンという音はキメラの最後を感じさせる響きだった。

「ふぅ……やったぜ」

「らいと!?大丈夫!?」

僕はそういうとらいとは元気のない笑顔を僕に見せた。

僕はらいとに肩を貸して歩き出そうとした時。

その時僕達に視線が向けられていた。

「ん?あれは……雷魔法だと?」

「おぉ、希少生物を見つけた。」

らいとが急に立ち止まって言う。

「なんかすげー視線感じるんだけど。」

「ん?」

すると僕達の目の前に1人の男が現れた。

「こんなところで、希少魔法と出会えるとは…こいつらを生み出した甲斐があったな。俺の被検体発見!」

そう言い放つ男は我に返り僕達に声をかけてきた。

「君達ちょっといいかな?」

「なんですか?」

僕はそう言うと怪しい眼鏡をあげながら男は話す。

「君、身体中に電気…帯びてるみたいだね。」

「えっ。」

僕達の目の前で話す男はらいとの力を知っている様だった。

「どうしてわかるんだ?俺も見えてねぇし…お前が初めてだぜ…?」

らいとは男に言い放つ。

「私の名はドクターロメオ。この街の大科学者だ…表向きはね。実は裏では魔法を研究しているんだよ!この世界の魔法とは、火、水、風、の三属性…光、闇の二属性から…全部で五属性からなっているんだ。基本的に属性は一つしか持たないとされている。そこでだ。君のもつ、雷属性の属性はここにはなかろう。」

「そうなんだ。それはどういうこと?」

僕は男に聞く。

「その雷というのは、火と光の二属性の複合でしか発生しないと言われている。幻の存在なのだ!!!ぜひとも君には、私の被検体になってもらいたい。いや、なってもらう。」

僕はらいとの手を引き話しかける。

「らいと…やっぱりこのドクターロメオって怪しいよ?」

「とりあえず一旦逃げよう?」

そう僕が言うとロメオは僕達にまた話してきた。

「ちょっと待った。」

らいとはロメオに向かって待てをする!

「なんだね…」

そして僕は魔法を唱える。

「生活魔法!ビックライト!!」

「くっ!!」

ロメオは僕の目眩しに怯んだ。

「らいと今だ!」

「よし、いこう!」

僕達はロメオを残し走り去るのだった。

僕達はロメオから逃げる!

僕はらいとを見るとらいとも辛そうだけど必死に走った。

そして………

ようやく僕たちはドクターロメオとかいう謎の人物から逃れ、この街の唯一の医者になんとかたどり着いたのだった。

「はぁ…はぁ…着いたな…はぁ…ここだな。」

らいとは息を整えて僕に言った。

「そうだね。」

「中に入るぞ」

こうしてやっとの事で僕達は病院の中に入ったのだった。

そして僕達の番になり呼ばれて診察室に入るとそこには見た事がある顔があった。

「えっ貴方は…」

「あっ!!!」

僕達は驚いてしまった。

そこには先ほどの怪しい男が座っていたのだった。

「おぉーやっと私の被検体になってくれる気になったのか。」

「らいと、帰ろ。」

僕はらいとの手を引き帰ろうとした。

「ちょっと待ちたまえ。話を聞いてくれ!」

「なんだよ。」

「いいか?この世界は電気というエネルギーがないんだ。君のその力を研究すれば、電気というエネルギーの開発に繋がるんだ。」

ロメオは正論みたいな話をしてきた。

「なる…ほど…」

僕は思わず答えてしまった。

「なるほどじゃねぇ」

らいとはイラついて僕に突っ込む。

僕は続ける。

「だって、電気って大事じゃない?スマホはないけどさー、僕みたいに生活魔法がなかったらら多分不便だよ。」

そしてロメオも乗っかってくる。

「その通りなのだよ。協力してほしい。」

らいとはキレ気味で言う。

「ちょっと待てよ。俺はそこまでできねえぞ。」

その時僕達の足元からガタガタ音がしてきた!

「なんかガタガタ音する…これは…地下?」

「あぁ、地下には私のコレクションが…創造物…私の…私のペットたちが起きたようだ。

元気な子ばかりでなぁ。毎日のように脱走、破壊するんだ。可愛いだろう!?!?」

ロメオは狂ったように言い放つ!

そして突然地下の階段からモンスターがわいてでてきた!

「えっ。モンスターがどんどん這い上がってくる。それもいっぱい…。僕が戦うよ!何かあったらサポート任せたよ。」

僕はらいとにそう言うと構えた。

「わかった。みら!?」

らいともモンスターに向かい構える。

そして数匹のモンスターがロメオに飛びかかる!

「私もペットたちと戯れようじゃないか。くくくっ『オペ・レーション』」

ロメオに襲いかかったモンスターはバラバラに切り裂かれたのだった。

「モンスターがバラバラになった…」

らいとは驚きつつ言った。

僕は続けて攻撃に入る。

「自分のコレクションを…まあいいや…。『クラフト、水槽!』えっと…『クラフト!拘束チェーン!』それから…『クラフト!○○!』『クラフト!○○!』『クラフト!できるだけ大量のみずっ!!!』あ、らいと。ごめんけど

ちょっとだけ力貸してほし…。雷少しだけ分けて…」

僕は一気にモンスターを仕留める為の準備をしてらいとに頼む。

「いいけど…なんだ?あ、わかったみら。お前の言いたいことは伝わったぞ。『スパークッ!』

らいとの雷が僕の作り出した水に流れモンスターを仕留める!!

ロメオは驚きつつ言った。

「おっ、モンスターが消えて…く。やはり、君の技は…能力は…エネルギーとして必要だ。ぜひとも研究…いや協力を願いたい。」

「え。研究って言いました…よね?ね?」

僕は思わず突っ込む。

「いやいや、私はだな。純粋に…だ。」

らいとは呆れて答える。

「いや冗談じゃねぇ。俺は帰るぜ。」

僕達は帰ろうとして話す。

「うん、帰ろう。お医者様は他にもいるはず。」

僕がそう言うとロメオは怪しい顔で言った。

「このまま私がただで逃がすと思ってるのか?ふふっ。」

「な、なんだよ…」

「これは…君のこの力は…これからの時代に必要なんだ。君はこの世界の住人たちを見殺しにする気かい?あぁ、残念だよ。君がそんなにも冷たく冷酷で…。この世界の発展を遮る気か?今あるエネルギーだって永遠ではないのだよ。生活魔法持ちの民も多い訳では無い…」

そして僕はロメオに言う。

「おとなしくきいていたけど!さっきからなんなんだ!!!らいとはそんなんじゃない!!!優しくて勇敢で…とにかくそんなんじゃないんだ!!」

「さあ、らいとの力を世の中に広めるべきだよ!」

僕はらいとに力説する。

「お前もあいつよりなのか!」

「じょうだんじゃねぇーーーーっ」

らいとは逃げ気味に言ってくる。

「っていうか、俺らこの世界の住民じゃないんだぜ?」

「え。帰る気ないって言ってたじゃん」

僕はツッコミを入れる。

「それとこれとは話は別だっ!!!」

らいとは逃げ出す!

この後、らいとの運命はいかに…

続く。

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