第4話 アスタイト王国
う、どうしたんだっけ?
ここはどこだ?
わからない
ボクは、死んだはずじゃないのか?
「うっ、ここは?」
眩しい、まだよく周りがわからない。
これ、ランプの明かりじゃないよね?
かといって、太陽の輝きでもない。
「LED電灯の光?!」
ようやく、目が慣れて周りが見えるようになって、ようやく気づいた。
ここ、二階のボクの部屋のベッドの上だ!
ボクは、ゆっくりと辺りを見回した。
ボク専用の勉強机、その上にあるのは、数1の教科書、古文の教科書、各、参考書、辞書、そして、ノートパソコン、筆記用具、壁には、OKM46翠川 萌の特大ポスター。
変わらない、変わってない、ボクの前世の記憶と寸分の違いない、こっちで生まれて8年、何度も帰りたいと願ったあの日、あの時、そのままに
「あ、あああああ!、うわあああ」
ボクは、いつの間にか泣き出していた。
ぽろぽろ、ぽろぽろ、大粒の涙を流して、誰にはばかることなく、大声で泣いていた。
ドタドタドタドタ、階段をかけ登る音がする?!
誰かが、ここに、この部屋に向かってる?
バタンッ
そして、部屋のドアが激しく開いた。
「大丈夫?!」
「え、だ、誰!?」
そこにいたのは、この世界では見たことがない、でも、前世の日本では当たり前の黒髪の今の自分より、幼い小さな男の子が黒い瞳で心配そうに立っていた。
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数時間前
◆ルグラン▪フォン▪アスタイト視点
私の名は、ルグラン▪フォン▪アスタイト
この、アスタイト王国の王子だ。
赤髪、ブルーアイ、白い肌、火の魔力を持っている。
王族は皆、私と同じかな。
王子は私しか居ないので、実質的には王太子?らしいが。
この国は15歳で成人だから後、2年たたないとと言う事らしい。
今日は、やりたくない嫌な儀式に病弱な父の代わりに出席しなければならない。
はぁ~、気が滅入るわ。
「殿下、お時間です」
「はいよ、ガイ。お前、また、背が伸びた?」
「はいよ、ではなく、あいわかった、ですよ?殿下」
「お前、頭禿げるぞ」
「誰のせいですか、それに、私は殿下と同じ13歳です。まだ、禿げません」
ガイ▪フォン▪ホルスター、ホルスター公爵家の三男で5年前から私の従者になった男だ。
灰色髪、グリーンアイ、やや肌黒、将来はまあ、イケメンか。
風の魔力保持者だ。
今日はアデレード神殿、召喚の間で勇者と賢者、ウィザードの召喚に立ち会わなければならない。
近年、魔瘴気が濃くなり魔の森が拡大し、魔獣被害が増加した。
すでに、7つの村と3つの町が魔の森に飲み込まれた。
魔獣は日々、強くなり集団化しだした。
もはや、騎士団だけでは対処の限界をむかえているのは確かだ。
と、いうのが神殿の言い分らしい。
正直、私はそうは思わないが、この国は神殿の方が力が強い。
今回も、神殿が勝手に召喚を決めた。
ふん、どうせまた、失敗するに決まっている。
すでに、かの者の召喚に八回も失敗しているから、召喚対象を変え、勇者、賢者、ウィザードの三人同時召喚?
数撃ちゃ当たるってか?!
馬鹿なの?
安易過ぎな考えだ!
そもそも、異世界の者を誘拐同然に召喚し、命をかけて魔獣を討伐してくれ?
馬鹿だろ!私が召喚されたら誰がそんな事、やるか!
しかも、もとの世界に返せない?ふざけんなだわ。
だいたい、あの世界の人々は戦闘経験なんかないわ。
まあ、ラノベがあるから予備知識?はあるのか?!
召喚は、年一回の二つの月、デアとメアが重なる時しか出来ないとされている。
だから今夜なんだが、なんとか無事に失敗して欲しいと私は思う。
「殿下?いま、良からぬ事を考えてませんか?」
「お前、本当に禿げるか、早死にすると思う」
「様々な便利な物や革新的施策を生み出した❪叡知の王子❫、の名が泣きますよ」
ふぅっ、ってため息して、お前、その残念な人を見る目はヤメロ!
「それより殿下、早く婚約者を決めないと」
「やだよ、私はGLじゃない、NLなんだから」
「はい?」
「あ、いまはそれでいいのか、ああ、気にするな、勘違いだ」
「?」
いかん、いかん、まだまだ、気持ちの切り替えが難しいわ。
「?どちらにしても、早いほうが良いです。さもないと、神殿にどっかのババァを宛がわれますよ」
「うむ、世間話で公園で数時間話込むのは不味いな、止めようね、おばさん達」
「なんの話ですか?!」
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◆高木家 俊の部屋
シルビア視点
ん~っ、目の前の5歳くらいの男の子、なんか見覚えがあるんだけど?
って、何、赤くなってんだ、この子?
「あ、あのさ、お嬢ちゃんは、あ?いや、お姉さんはなんでウチの玄関口で倒れていたの?」
なんか言い直した?ウチの!?今、ウチのって!
「ね、きみ?今、ウチの玄関口って言った?」
「言ったよ、だって、ここ、ボクん家だもの」
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