襲撃
施設の中にはマナタンクが置いてあり神秘的とも言えるが、いくつかは漏れ出ているようだ。
ルタ曰くあれだけ大量のマナの近くではマナ核が反応して酔いに似た状態になるから気を付けたほうがいいとのこと。
色々見ていく中でルタは何かに気づいている様子だ。
一体何に気づいたのだろう……。
「穂、次に向かうのはある異界の学術院だ。
こいつはルーザスが関わっている可能性が高い。
あいつのマナの残り香を感じるんだ」
辺りの匂いを嗅いでもマナの残り香なんてわかるはずもなく……しかしルタはやはり凄い、そういうところにまで気づいてしまうようだ。
ルタと共に先ほどの大破したアサルト・シュラウドの格納庫に向かう途中、それはいきなり訪れた。
けたたましく鳴り響く警報、マザーアルカナと呼ばれる全てのアサルト・シュラウドを管理できるコンソール端末が大量のマナで暴走したのだと言う。
急いでマザーアルカナの制御室に向かうが、研究員たちは襲ってくるアサルト・シュラウドに大混乱だ。
この場を収めなくてはならない、被害を何とか防ぎたい、そう思うと風が私の頭を撫でて行った気がした。
「穂、俺はお前を守り切れる自信がない。
自分で戦うんだ。怖いかもしれないが、魔法の根本は俺は勇気だと思っている。
穂なら大丈夫、さぁ、行くぞ!」
足は震えている、それでも私の心は恐怖に打ち勝てと叫んでいる。
握り締めた手を開くと一枚のチケットが私の勇気に応えてくれた。
ライフルボルト、どうやら遠距離にまつわる武器のチケットのようだ。
「穂、大丈夫か?いけるか?」
「ええ、大丈夫。風が吹いているから」
制御室に向かう途中、方々から囲まれるもルタとコルックスが道を切り開いていく。
私は後方に注意を向けながら前進していく。
プランサーの魔力が尽きるのが早いか、鎮圧するのが早いか。
しかし今はそんな事を考えている余裕などなく……。
多くのアサルト・シュラウドを切り伏せてようやく辿り着いた制御室では何人かの研究員が血を流し倒れている。
ルタはクリューに容態の確認をさせ、ドアにコルックスを配置して敵を警戒する。
「えぇっと、どうすればいいのかなぁ……?そう、エリオットに聞いてみよう」
ルタがチケットを改札して話し始める。
マザーアルカナの取り扱いについて確認しているようだ……だが私には正直何を言っているかわからなかった。
今はとにかくドアに警戒を向けるしかない。
ルタがコンソールを操作し始めた。
もうすぐ何とかなるだろうと兆しが見えた時、計ったかのように扉が吹き飛んだ。アサルト・シュラウドの襲撃、遂にここまで来たようだ。
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