調査

「今度の世界ではちょっとした調査をするんだが……観光と調査、どっちがいい?」


「そうね……どっちもっていうわけにはいかないだろうから、調査にしようかな」


 降り立ったのはメガロジ皇国と呼ばれる皇帝制の国。


 アサルト・シュラウドと呼ばれる魔装機兵が暴走して実験施設に壊滅的ダメージを負ったことで、その原因調査の依頼のようだ。


 宿屋の物置から出て来た私達は早速、実験施設に向かう事にした。


 蒸気と鋼に包まれた街を見て私は不意に蒸気革命を思い出した。


 パイプが縦横無尽に走るその姿はスチームパンクとも言えるのではないだろうか。


 ルタの話では、この世界で人はマナ核を持っていないと言う。


 しかしマナやその結晶はある為、それと蒸気を利用した魔法を使うのだとか。


 これから見に行くアサルト・シュラウドもその一つなのだと言う。


 蒸気と魔法が入り混じった話は本で読んだことがある。


 私の世界で明治が終わり大正になったころのお話だったと記憶している。

 研究施設はアニメで見たことあるような物ではなく、レンガ倉庫のようなものだ。


 中へ入ると蒸気の煙なのか白煙く感じる。


 中では研究員らしき白衣を着た人が忙しなく手元の板で何かを操作しているようだ。


 ツナギを着た作業員は工具で中央にある巨大なロボットのようなものを数名で手入れしているのだろうか。


 煙の隙間から垣間見えるあちこちが損傷した壁や大きな機械、天井には穴も開いている。


「トランスレート、チェック」


 翻訳の魔法……魔法を使い慣れた訳じゃないけど、これは何かと便利でよく使うと思っている。


 どんな世界に行っても今のところ通用する魔法だ。


 通用しなかった時は……後でクリューに聞いてみよう。


「穂、あれが暴走したアサルト・シュラウドだそうだ。施設内は暴走の爪痕が酷いものだな……」


「やあルターニャ、元気そうじゃないか。


 こっちは酷いもんだよ、何せ開発中のこいつは無人のまま暴走したらしい。


 あぁ、施設内はこいつを持っていてくれ。セキュリティにうるさいんだ」


 ルタと立ち話をしていると一人の研究員が声をかけてきた。


 名をエリオットという。


 彼から手渡されたカードを首から提げて私とルタは早速施設の調査を始めることにした。

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