風と少女
クリューに言われて手元を見るとチケットが一枚握られている。
無意識に呼び出したのだろう。
見ると翼を生やす魔法だとわかった……私の背中を風が撫でていった。
やるしかないし、やらなきゃならない。
ルタだって戦っている、私も出来ることで立ち向かわなきゃ……。
震える足を何度だって風が吹き抜けていく、勇気が湧いてくるような気がした。
「フリューゲルス、チェック!」
改札すると私の背中に薄い緑色の翼が具現化した。
コルックスが「風のマナだ」と呟いたような気がしたが今はそれを確認していられるほどの余裕がない。
無意識にプランサーを握り締めると翼が大きく羽ばたき、砂埃を巻き上げて私の体を宙へと放り投げた。
恐怖心もあったが克服して乗り越えられるものらしい。
私は背中の筋肉に大きく力を込めると翼を制御することが出来ると気が付いた。
一目散にドラゴンへ向かっていく。
『ニンゲン、手を貸してやる』
『ニンゲン、精霊魔法だよ、大丈夫だよ』
精霊たちが魔法の力を貸してくれると教えてくれた。
彼らによれば精霊にあるマナを自分のマナ核に宿すことで精霊の力を使うことが出来るようになるのだという。
精霊は私に宿りその力を与えてくれた。
「ルタ、そのドラゴンを助けてあげて」
なんとか追いついて私は叫んだ。
「なんだって!?おい、穂……いい、話はあとだ。動きを止めてほしい、マナ核が暴走しているようだからそれを抑えてやらなければならない」
それを聞いて精霊たちは元気よく返事をした。
私はプランサーを使って“ビンディング”の魔法を改札した。
大木のように太い蔦が飛び出し、ドラゴンを縛り上げる。縛り上げる力が強いのかドラゴンは落下していく。
次に使うのは……えっと……“ウィンディア”が手元に来る、私はすぐさま改札した。
ドラゴンの下から暴風が吹き荒び、地面に当たる直前で体を浮かせた。風を操る魔法だ。
ドラゴンはうつろな目をしながらこちらに口を大きく開けて炎を吐き出した。まずい、このまま直撃すれば私は真っ黒焦げになってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます