不穏な叫び
「そういえば穂は魔法を使ってみたいって言ってたもんな。折角だから翻訳の魔法を使ってみなよ」
「穂ちゃん、大丈夫よ。頭で思い浮かべればパスケースがチケットをくれるから」
いきなりではあるがルタとクリューに言われたし折角なので使ってみよう。翻訳……翻訳……頭でそう思い浮かべていると風が吹き抜けたような気がした。
手を開くと魔法陣が描かれたチケットがある、魔法陣を読み解くことは出来ないけれどこれが翻訳の魔法であるという確信がある。
「トランスレーション、チェック」
プランサーでチケットを使うと分からなかった言葉が分かるようになった。あの時と同じように風が後押ししてくれたように感じる。
海外なんて言ったことないけど洋画は何度も見たことがある、字幕で見ることが多いけれど英語もそれとなくしかわからない。
それと比べて異世界に来たものだから、本当に何を言っているのかよく分からなかったから、前も海外に来たような気分だと思った。
「俺の魔道具たちは魔力を充填できる仕組みになっているからね、コツさえ掴めば穂みたいにマナ核が無くても扱うことが出来るはずだよ」
「そういえばクリューにも言われたけどマナ核って何?」
「まずはマナについてだね。マナは魔力の素で空気中にも漂っている、呼吸するだけでも少しずつマナを得ることが可能だよ。そのマナを蓄えておく体内器官がマナ核と呼ばれるものだね。第二の心臓、なんて言い方もされている」
私はそのマナ核が無いけどこの魔道具がその役割を果たしてくれているということか。
もしプランサーの魔力がなくなったとしたら、一生使えなくなったりするのかな?魔力を切らすことに関してはすごく注意しなければならないはず……。
「ルタ、もしプランサーの魔力が無くなったら……どうなるの?」
「次に魔力を充填するまで使えなくなるだけだから大丈夫。中々無くなることも無いんだけど、もしも切らした時は俺がちゃんと充填するよ」
中々無くなることがない、ということはそれだけ使わないということなのだろうか。あるいは蓄えておけるマナが多いということか……風が吹き抜けた様な気がして私は少し練習してみようと思った。
「さて、時間があるしエトノ連邦の観光でも——」
『ギュオオオオォォォォォン』
けたたましい轟音が響いたかと思えば凄まじい突風が吹き荒れた。肌をピリピリするこの感じ、ザン・オルリビの時と同じような気がした。ルタと同様に空を見上げると翠緑色の美しい色をした大きな怪物が空を飛んでいる。
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