目に映る物

ただそれも市場に来て、そして見てわかった。ファンタジー小説もただの夢物語ではない。最初に目に入ったのは目の前を通って行った青色の大きな鳥が荷車を引く姿。そして市場に売られているものを見ると、肉は皮もないからか見慣れたようなものではあるが、吊るされた魚は角が生えていたり羽が生えていたりする。


 まるでモンスターのような見た目だが一般的な食用なのだろうとは思う。樽の中に水を満たす時も魔法のように手から出していた、橋の中ほどの広場では大道芸人のような集団もいたがあれも魔法なのだろうか。


 私は着いた時以上に興奮していた、見るもの全てが新しく、感嘆の音を上げることしか出来ていないことに気が付くまで大層時間がかかった。息を飲むほど、あるいは声も出ないほどの感動というのはこのことだ。


「ここはアリマルシャン王国の王都でこの大きな川が特徴的だよ。特にここ12番街はこの川のお陰で領地内の貿易に一役買っている、だから様々な人も集まるんだよ」


 ルタが指を指す先には騎士のように全身甲冑の人と普通っぽい人が何やら楽しそうに話していた。周りを見回すと剣を携えたような人もいれば先ほどの騎士のような人であったり、あるいは頭に布を巻いて半袖姿で魚を抱えた漁師のような人もいたりする。見れば見るほど、何も知らない世界なのに楽しく感じる。


「まさかこれほど驚いてくれるとは、逆に俺もびっくりだよ」


「正直、言葉にならないかな……あらゆる言葉を尽くしても今の私の気持ちは表現できないほどよ!」


「それはそれは良かった。さて、このあとちょっと顔出しておきたいところがあってね」


 そう言われて行った先は酒場だった。ここの店主が12番街、そして橋上市場の取り纏めをしているのだという。商工会とか町内会のようなものを想像して入った酒場はこれまた色んな人で賑わっていた。ただ、机には物騒なものが立てかけてある……物騒なことを生業にしている人たちなのだろうか?


「44GC44KJ44Or44K/44GY44KD44Gq44GE44CB5LmF44GX44G244KK44Gt」


「久しぶりだな、マスター呼ぶのと飲み物お願いしてもいいか?」


「44GI44GI44CB44KP44GL44Gj44Gf44KP」


 何を言っているのかさっぱりわからない……けどルタの知人であることは間違いないようだ。一つのテーブルに陣取り、私達は椅子に座った。しばらく待っていると眼鏡をかけた初老の男性が来た。綺麗なウェイストコートを身にまとっているところを見るにこのお店の責任者なのだろうか。あるいは貴族か。


「44KE44GB44CB5LmF44GX44G244KK44Gg44Or44K/44CC5YWD5rCX44Gr44GX44Gm44GE44Gf44GL77yf」


「あぁ、随分とな。せっかく立ち寄ったし、何か依頼の一つでもこなしてやろうかとな。」

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