第4話

エリーとそのまま別れて学園長と泥パックの実験をしていた。


「学園長、泥を塗る美容実験なんですけども、もしかしたら、この国の南部にある原住民が行っているかもしれません。」


「ふむふむ、私もその辺りは行ったことが無いわ。

 ちょっと理事長やスポンサーたちを脅して、研修費をせしめてくるか迷うわね。

 でも南部で同じことをやっていたのを知っているのかしら。」


それはすでに調べているからだ。

この国の歴史なんかは転生者の苦手分野として有名なところ。

自分が公爵令嬢を王妃に据えることができなかった時、万が一処刑されたり、王国が崩壊したときの逃亡先兼避難所としても優秀な場所。


この国の影響をほぼ受けない。

移動手段を確保できるか。

尚且つ騎士団が追跡しにくい場所。


この三つの条件が合致する場所を探しだす過程で見つけたモノだ。

社会で苦手なものを克服しなければ生きていけるものも生きていけない。

郷に入っては郷に従え、言うは易し実行するは難し。


田舎の不便さを知った嫁が逃げていくのもまたしかり。

アメリカの大統領夫人は都会の物価の高さを嘆いたと言う。

郷に入って受け入れるのは難しいし、この世界でも比較的都会育ちの私でも生きて行けるかどうか調べるのって苦労するんですよ。


「ナケナシのお小遣いで、図書館にある本を読んでいたら見つけました。」


「とても優秀なのね。」


図書館にある本は40万冊を超えている。

片っ端から読んでいれば、一冊ぐらいは見つかってもおかしくはないと判断し言い訳した。


学園長には何かを他の意図があることがバレていると合図を送られたけど、深く追及はされなかった。


学園長もある程度目星は付けられているから追求しなかった。

私がそんなことを調べないといけない理由として挙げられるのが、

学園で貴族の反感を買う、

もしくは王太子関係か。


貴族の反感はごもっとも、

いくら学園が平民を受け入れようとも、身分制度は撤廃することは無い。

王国の法律上は、貴族の子息令嬢たちは貴族ではないとされているが粗相をしたら親から、身の程を知れと警告が走る。

それを受け止めるワンクッションめが学園長。

貴族は平民よりも優秀でないといけないと刷り込まれた彼らの教育に、津波を起こしかねない大岩を放り込む。


難癖付けてくる可能性も捨てきれず、貴族がどういった生き物か知らない平民たちだが、辺境の村を訪れる者たちにはその悪評が分かっている。

彼らは飛んで火を熾す害虫とすら心の中で思っている平民も少なくない。

私は街育ちだが一般常識を調べていく過程で行商人や都に出稼ぎに来ている方々からよく聞いていた。


◇◇◇◇◇◇


そしてもう一つなんだけど。

王太子様って絶倫なもので、既に何人か城のメイドと作ってるらしいのよね。


浮気とか日常茶飯事、独占欲ってものを持ってる女性たちからそのうち刺されるわね。

平民は王族と一夜ともにすれば謝礼金がもらえるとともに、血を絶やさぬための量産機として孤児になれば引き取ってもらえる特典付き。

王族はビンテージと思ってる人多いけど、意外と量産型。


ビンテージを求めたい女性は無難に平民の中でも、操作しやすい人間を選ぶのが良い。

バブル時代の男性を思わせる人が多い貴族社会では、浮気はある種の男性の義務として黙認している。

令嬢はあくまでも家同士をつなげる道具としか見ていない人の方が多い。

女性も子どもを産むことはせず、代理出産をする貴族家も数知れず。

王族ですら代理出産、種は王族のモノだったがそれが時代の王に成ることすらあった。


私たちの世界じゃ考えられないよね。

あ、でも、日本人の何割かは托卵されてるって聞くし、あながち違わないか。


性に関して滅茶苦茶な国でヒロインがハッピーエンド迎えられるなら制作した人たちにお灸をすえても文句は言わせない。

中世ナーロッパなこの世界は妙にリアリティを加えられているのがホントやだ。

元社会人としては甲斐性男なんて死んじまえって思う。


っつうかよ、この世界の貴族って何してんの!

子どもが愚図か我が儘しか居ねえって終わってるわ。

辛うじてまともと思えるのは悪役令嬢たちぐらいだわ。

だってこの国を見限るんだもの。

正解!

苺青果!


でも、悪役令嬢様を王妃に据えられれば辛うじて、生きていける国になるはず。

なってほしい。

最終手段として王太子だけでも蹴落とすくらいのことしないと。


「ねえ、あなたずっと考え事してない?」


学園長に泥パックされながら、これからの事を考えていると、唐突に話しかけられた。


「なんでしょう学園長。」


「私の使い魔が、気持ちよさ過ぎて気絶してるのにまだ触ってるんですもん。

 施術が終わってからずっとよ。」


当の昔に泥パックは終っていた。

私は猫をモフリながら、ずっと考え事をしていたらしい。

自覚無いって怖い。


「これからの事を考えておりました。」


「これからの事って、学園に来たからには文官もしくは、貴族の妾、あとは商人にでもなるのかしら。

 学園の平民出身者の行く末路なんてそんなものよ。」


エリート思考強.......


国立大学に入れって強制する親みたいじゃないですか。

私にはそれがナンセンスにしか思えません。


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スライム道

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