文章を書く理由
シヨゥ
第1話
言葉で伝えるのが苦手だから文章を書く。
言葉が消えるのが嫌だから文章を書く。
言葉では伝えられないから文章を書く。
文章を書く理由なんてものは人によってさまざまだ。こうやってぼくも文章を書いている。文章というよりは文字をただただ並べているといったほうが正しいかもしれない。その理由はなんだろうか。
気晴らしか。たしかに恨み節のような言葉もいくつかみられるが数は少ない。ぼくはここ最近恨むようなことが少なかったようだ。
なにかの伝言か。このノートいっぱいに適当に書きなぐった文字たちからぼくの思いが伝わるか。いやそれはない。このノートから伝えたいことを他人が想像することは難しいだろう。
情報整理か。これが一番正しい気がする。殴り書いてはいるが、ただ平仮名やカタカナを羅列していることはない。「腹が減った」や「あの時計が欲しい」、「町であったあの子には彼氏がいるに違いない」などなど文章化されている。そのどれもが思いだったり、想像だったり、妄想だ。ぼくの頭の中で渋滞を起こしている情報が手を伝ってノートに出力されているのだ。
まとまりのないその文章たち。だが関連性はある。思い付きでぐるっと囲って関連性のある文章とくっつけると不思議となかった答えが浮かび上がってきた。
「これだ」
思わず声が漏れてしまうほどの爽快感。同じ作業を繰り返すとノートがよりカオスになる。それでも情報は一つの形を帯びた。
ぼくの文章を書く理由。それはどうやら情報整理のためのようだ。
文章を書く理由 シヨゥ @Shiyoxu
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