第二章 その手の温もりは、とても身近で④

 家に帰って、いつもみたいにベッドに飛び込む私。

 誰も見てないから、隠さないけど……すっごく、頬が緩んでしまっています。


「重音と久しぶりにたくさん遊べた……っ♪」


 やったことないゲームだったけど、重音と二人で遊べたからすごく楽しかった。

 分からないところはちゃんと教えてくれたし……というか、操作方法とかを教えてくれていた時の重音、超かっこよかった。

 しかも、指を重ねちゃってたし。なんなら密着までしちゃってたし。


「ああいうことを無自覚でやっちゃうところ、ほんとずるいなぁ……」


 私の純情を弄ぶなんて……重音には少しは反省してほしいものです。


「それに、キーホルダーのこと……ちゃんと覚えててくれてた」


 重音に買ってもらったキーホルダー。

 疎遠になっていた時も、私と重音は繋がってるんだって、私に自信と勇気をくれた大切なアイテム。


 すっかりボロボロになっちゃってるし、買ってもらったのは何年も前のことだからすっかり忘れられてると思ってたけど……重音はちゃんと気づいてくれた。


 この思い出は私だけのものじゃないって、安心させてくれた。


「……今思ってみれば、私の好きな人がくれたものだから、みたいな感じで告白に繋げられたかも」


 雰囲気も良かったから、絶好のチャンスになったかもしれないのに。

 でも、もう一度同じ場面があったとしても、きっと私は何も言えない。

 頭の中ではいくらでも大胆になれるのに。


「いつか、恋人同士になれる日が来るのかな……」


 それ以前の問題だと分かってはいるけれど。

 重音の特別になれるその日を、私は勝手に妄想してしまいます。

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