成仏
私はどうやら死んでしまったらしいのです。気がつくと目の前で妻が手を合わせていたのです。
「今日で四十九日ね。長いようで短かったわ。」
どうやら私はもう死んでからそんなに経っていたらしいのです。
「あなたがいなくなるときっと大変になるだろうと思ってたけど、そんな事なかったわ。だってあなた、家でなんにもしてくれなかったんだもの。家事も半分になって楽になったし、趣味の時間も増えたわ。」
私が死んでも妻は相変わらず笑顔で話しかけてくれるのです。
「あなたはもう天国に行けたのかしら。天国は楽しいですか。私はまだそっちには行きたくありません。しばらくは一人で頑張ってくださいね。」
妻よ、私はまだ天国には行けてないのです。もちろん妻にはたくさん迷惑もかけてきたし、恨んではいません。ですがどうか供養だけはしてほしいのです。
このまま成仏も出来ず、放置された私の身体が原型もなく朽ち果てていくのを見ていくのは辛いのです。
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