第3話

@mizuhana0825

まだ蕾の花達よ

・黒江 廿楽(くろえ つづら)♂︎

コードネーム:アマリリス

14歳。頬にある絆創膏が特徴。

明るく、男女共に好かれがちなクラスの盛り上げ役。

察しがよく、ユリと話が合う。



・白夜 ノアル(びゃくや のある)♂︎

コードネーム:ノースポール

14歳。異国人とのハーフ。

女性に耐性がなく、雰囲気とは合わない天然。

戦闘ではクールで冷静に物事を対処出来る。



・花宮 ユリ(はなみや ゆり)♀︎

コードネーム:リンドウ

14歳。お嬢様。

しっかり者で礼儀正しい性格。

幼い頃から習っていた格闘技で前衛として戦う。



・サクラ(さくら)♀︎

14歳。戦闘能力はない一般人。

優しく健気な少女。趣味は読書。

放課後は図書館で過ごすことが多い。



・総監部長(そうかんぶちょう)♂

コードネーム:プロテア

戦闘実践訓練の専用の教師で、戦闘育成学校の戦闘総監部長。30代前半。

今も軍隊に所属しているため、指導がかなり厳しい。

半年前の事件の総監部長とは別の人物である。



・ダチュラ(だちゅら)♂︎(セリフ少なめ)

敵の幹部。ヤンキーっぽくてオラオラしてるタイプ。

22歳。人間なのにウィード側にいるのは事情がある。

敵側の中でも人間なのはダチュラのみ。



・田端 奈緒(たばた なお)♀

サクラと友達になった病弱な少女。

目の病気らしく、基本目は瞑った状態で生活している。

性格は物静かで、基本は落ち着いて行動するタイプ。

13歳、花宮女子中学1年生。

(現在は入院中のため休学中)



・花節 大(はなぶし ゆき)♂

(今回は名前だけ出てきます)

14歳。ユリのバディ相手であり、2年C組後衛クラスの少年。

廿楽と仲が良く、半年前の事件はユキがいなければ廿楽も死んでいた。

廿楽に話を聞かされ、一方的にユリのことを知っている。



・男B(セリフ少なめ)♂

2年B組の生徒。後衛クラス。

選ばれた廿楽とテツに嫉妬している。


・男C(セリフ少なめ)♂

2年C組の生徒。後衛クラス。

選ばれた廿楽とテツに嫉妬している。


・N♂︎♀︎

ナレーション。




━━━━━━━━━━━━━━━


ノアル♂:

廿楽♂:

ユリ♀:

サクラ♀:

ダチュラ♂:

男B♂:

男C♂:

奈緒♀:

N♂♀:


━━━━━━━━━━━━━━━


「第3話」



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈





N:図書館の出来事から次の日の放課後。

先生から招集を受けていたノアル・廿楽・ユリの3人は、職員室へ向かっていた。





廿楽:あーあ、ついに明日から訓練が始まるのかぁ…


ノアル:あれ、今日からじゃないの?


ユリ:今日は顔合わせと説明だけですよ。

去年とは違う総監部長さんなので、まずは新しいコードネームとバディを決めなくてはいけませんから。


ノアル:コードネーム…?バディ?


廿楽:あー、ノアルは初めてなのか…

コードネームは戦闘員達の名前代わりになる単語で、前衛と後衛の連絡手段に使われるんだぜ。

盗聴されてた時の身バレ防止らしい。


ユリ:バディは前衛と後衛のペアのことですよ。

戦闘中は主にバディでコミュニケーションをとって戦うんです。

今日はその発表日ということで、皆さん席替えの時みたいに緊張していることでしょうね。


ノアル:ふーん、そうなんだ…

誰となるんだろう、ちょっと楽しみだな!


廿楽:あ、ノアルは多分…


ユリ:(上のセリフと被せて)

はい、そこ。ネタバレはダメですよ。

さぁ、入りましょう。




N:ユリが職員室のドアを開ける。

先生達がいる部屋をぬけて、奥の部屋へと進む3人。

中には既に招集により集まっている7人の生徒と、1人の先生が待っていた。




総監部長:よくきた。

全員揃ったな、座れ。




N:3人は空いている席に座り、一人の男が話し始める。




総監部長:初めまして、生徒の諸君。

私は今年から総監部長を任された者だ。

よろしく頼む。

時間もないことだ、各生徒にコードネームとバディ相手が書かれている紙を配る。

確認次第解散しろ。




N:各自名前が呼ばれ、紙を取りに行く。

全員の手元に紙が渡ったあと、3人は一斉に紙を確認した。




ノアル:わ、バディ相手廿楽だ!

知ってる人でよかった〜…!!


廿楽:予想通りだな。

俺は後衛クラス10位だし、前衛トップと組まされるのは必然だよな〜


ユリ:私のバディ相手は…

花節 大(はなぶしゆき)さん…?初めて見る名前ですね。

後でご挨拶をしなくては…


廿楽:お、ユキとバディなんだ。

あいつなら、ユリも大丈夫そうだな。


ユリ:廿楽さんとお友達ですか。

でしたら、安心して戦うことが出来そうですね。


ノアル:あ、コードネームも一緒に書いてあるよ!

僕のコードネームは…!ノースポール!

な、なんか、かっこいいね…!!


廿楽:俺はアマリリスか…

花の名前か?


ユリ:みたいですね。

私はリンドウです。


廿楽:ユリは名前が花だからユリでよかったんじゃねーの?


ユリ:それではコードネームの意味が無いでしょう。



ノアル:…よし、みんな確認したね!

早速図書館へ行ってサクラさんに報告しよう!


ユリ:ええ、そうですね。


廿楽:え、お前らもう帰る準備万端じゃねーか!

ったくもう…っておい、置いていくな!

まてって!




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈





N:無事確認が終わり、3人はサクラが待っている図書館へ向かい始める。

一方図書館で3人を待つサクラの方は、戦闘関連の本を読み漁っていた。

サクラは戦闘とは関係のない学校に通っているはずだが、きっと3人と話す接点を増やすためなのだろう。





サクラ:んーと、この本は…戦闘策戦コード資料?

難しそうだけど、専門用語辞書と一緒に読めばわかるかな…!




N:とある資料をみて勉強をするサクラ。

しかしどうやら、かなり苦戦しているようだ。




サクラ:うーん、この言葉はどういう意味なんだろう…?

まず漢字が難しすぎて読み方が分からない…

辞書…ってこれ、読み仮名から引くタイプだ!

あーー……だめだ、わかんない。

ノアルくんにきいてみようかな…


奈緒:…こ、こんにちは


サクラ:えっ!?あ、こんにちは!

えーと…?


奈緒:と、突然ごめんなさい…

ずっと何かに困ってそうでしたので、心配で声をかけてしまいました…


サクラ:え!色々と声に出てましたか…!?すみません…!

あの、実はこの本の、えーと…これ!

ここの文字の読み方がわからなくて…

って、あっ!




N:ここでサクラは自分の過ちに気づく。

見たところ声をかけてきた少女、奈緒は盲目なのだ。

目を閉じており、白杖(はくじょう)を持っている。




サクラ:ご、ごめんなさい!

私、とても失礼なことを…!!


奈緒:あ、謝らないでください!

盲目じゃないですよ、一応目は見えるんです…




N:奈緒が目をゆっくり開くと、青色の綺麗な目が見えた。




奈緒:あんまり目を使うことは出来ませんが、少しだけなら見えるんです。

良ければその本、見せていただけませんか?


サクラ:いいんですか…!?

ぜひ、お願いします!


奈緒:これは…確か、鄭潔(じぇんし)と読みます。

意味はさすがに私もわからないので、一緒に辞書を見てみましょう。


サクラ:は、はい!




N:奈緒は戦闘知識に長けているらしく、しばらくサクラに付き合って説明をしていた。

20分程経つと、疲れたように奈緒はまた目を閉じる。




奈緒:っ………

すみません、今日は目の疲れが出てきたみたいです…


サクラ:あ、無理させてしまいましたか…!?

ごめんなさい!


奈緒:いえいえ、無理はしてないですよ。

困ってる人を助けるのは当然です。


サクラ:色々教えてくださってありがとうございました…!

とっても助かりました!


奈緒:いえ、そんな。大したことはしていませんよ。

…あの。

私、田端 奈緒といいます。

たまに図書館へ遊びに来るので、また一緒に本を読んでもいいですか…?


サクラ:え、いいんですか!?

やった…!読書友達ってことですね!

私はサクラです!

これからよろしくね、奈緒ちゃん!

(興奮気味に言う)


奈緒:は、はい!

勢いがすごい…ですが…

えへへ、私も嬉しいです。

またお会いしましょう。

では、今日はここで失礼します。




N:そう言うと、奈緒は図書館の出口へ向かっていった。

一人になったサクラは、嬉しそうに微笑む。




サクラ:2日続けてお友達ができるなんて…!

夢みたい!嬉しいな…!




N:この出会いは、物語を大きく動かすこととなる。

しかし、当の本人は浮かれきっているようだ。

そこにいつもの3人が現れる。




ノアル:こんにちは、サクラさん!


廿楽:よお、来たぜ


ユリ:ふふ、なんだか嬉しそうですね…!

いいことでもありましたか?


サクラ:うん!

さっきね…!



N:先程の出来事を嬉しそうに話すサクラ。



サクラ:ってことがあって…!

ふふ、急にお友達がこんなにたくさん出来るなんて、嬉しくて…!!


ノアル:サクラさんがこんなに喜んでるのを見ると、僕も嬉しくなってくるよ…!

それにしても、相手が女の子でよかった…


サクラ:?

男の子はダメなの?


ノアル:っあ、えーと、さ、ささ、最近は危ない男の人が多いって聞くからさ!!


サクラ:そうなんだ!

戦育生から言われると納得するね…!

わかった!気をつけます!


廿楽:おいおい、テキトーなこと言ってんじゃねーぞ


ノアル:一応事実だもん。


ユリ:サクラさん。

また別日でも構いませんので、そのお友達を私にも紹介していただけませんか?


サクラ:うん、もちろんいいよ!

ちょっと大人そうな子だから、ユリちゃんとも仲良くなれそう!


ユリ:ありがとうございます。

ふふ、その日が楽しみですね


廿楽:うわ、またユリが女の子を堕とそうとしてる


ユリ:…?

堕とす、とは?


廿楽:はは、ナンデモナイデース




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




N:次の日からは、普段の授業に実習訓練の練習が組み込まれていった。

初日であるその日は、前衛クラスと後衛クラスに別れて訓練を開始する。

総監部長の指導は厳しく、泣いて逃げ出す生徒も多かった。

しかし、ノアル、廿楽、ユリの3人と、ユリのバディ相手であるユキだけは、ひたすら指導についていく。

噂が経つのも、時間の問題であった。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




男B:なぁなぁ、きいたか?

前衛1位と2位の2人はともかく、後衛10位の廿楽が鬼のような指導についていけるらしいぞ。

あと…おまえのクラスの後衛エースくんもな。


男C:ん?ユキのことか?

まぁ確かにユキは廿楽と仲良いけど、でもユキはただのいいやつだからな…

にしても、廿楽ってなんか信用できねーよなぁ。

あの頬にある怪しい絆創膏とか…絶対なんかあるって。


男B:もしかしたら…

あの絆創膏の下には、ウィードの力が隠されてるとか!

それで廿楽はなんとウィード側でした〜!とか!!


男C:いや、さすがにそれはないだろ。

でもウィードじゃなくて"先生側"ならありそうだよな〜…

しかし、前衛1位がそんな奴のバディ相手だなんて。

はは、可哀想だな!(嘲笑)




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




ユリ:…あら、目障りなこと。


廿楽:おいユリ、いいんだよ。

そんなやつら無視しとけって


ユリ:……なぜ、怒らないのですか?


廿楽:怒っても無駄だろ。

元々去年の事故の原因は俺のせいじゃないか、なんて裏で言われてるんだ。

今更何か言ったところで、何も変わらねーよ。

…俺は、誰かに信じてもらえているならそれでいい。


ユリ:……………

廿楽さんがそう言ってしまったら、私は何も出来ないじゃないですか…


廿楽:いいんだよ。

それに、ユリは俺を信じてくれるだろ?


ユリ:……ええ、はい。

(真っ直ぐ廿楽を見て言う)


廿楽:…!

はは、ありがとな。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




N:その日の訓練が終わり、疲れた生徒は各自帰路に着く。

そんな風景を、空中から眺めている人物がいた。




ダチュラ:ふーん………あいつが、例の、か。

よーく見たらミノルサンと顔そっくりじゃねェか……

あんなガキが選ばれるとはなァ、俺も落ちたもんだな〜…

いいさ、精々足掻いてくれよ。




N:青年は、不敵な笑みを浮かべる。

するとどこかへと消えていった。

不穏な空気が拭えないまま、実習訓練へと時間は進む。

彼らには一体何が待ち受けているのか…

物語は第4話へと続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

第3話 @mizuhana0825

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る