141 全知全能

(まだなんとなくしゃべり足りないギャルちゃんこと有紗とオタクちゃんこと真野)


「……もうすぐ進級するんだね、あたしら」


「うん……友達になってもうすぐ一年とか嘘みたい」


「だよね……なんかさ、神様っているのかなあ、みたいなことよく考えてたよ、一年間ずっと」


「神様?」


「うん。あたしとマヤちゃんを巡り合わせてくれた神様。なんていうか、幼稚園のときシスターの先生とか神父様が言ってた神様はさ、そういうの苦手そうじゃん」


「いや全知全能だから得意とか苦手とかないと思うよ?」


「でも……なんか、バベルの塔壊したり、ソドムとゴモラ壊したり、ノアの家族と動物以外ぜんぶ流したりしてたじゃん。優しさが足りないよね」


「まあ旧約聖書にフォーカスすればそうなるか」


「きっとさ、あたしらしか見てない神様がいるんだよ。それで、可哀想なあたしとマヤちゃんを、巡り合わせてくれたんだよ。割れ鍋に綴じ蓋だ」


「なんとなくわかる気はする。なにか特別な縁だというのは常々感じてた。百合的なのじゃなくてね?」


「ゆり……?」


「ボーイズラブは『薔薇』って言うんだよ」


「そうきたか……うん、友達だね、あたしら……」

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