133 夢中

(オリジナル設定資料を眺めながらどうしたものか考えるギャルちゃんこと有紗とそれをハラハラしながら見つめるオタクちゃんこと真野)


「いっそゲーム会社に送りつけるとか」


「それはぜったいやっちゃいけないやつだよ」


「そーなの? つまんないの……なにか有効活用の手段はないものか」


「東京のコミケとかならこの手の怪文書も価値がないわけじゃないだろうけど……東京なんて遠くていけないし、これだけの分量を冊子にまとめたらえげつない値段になっちゃうし、そもそも清書しなきゃいけないし」


「そっかあ〜。コミケってどーじんし即売会のでっかいやつでしょ? なんでそこだと価値がつくの?」


「ありとあらゆる創作が集まるからね……一次二次問わず。なんかばい菌のゲノムをひたすら書いた本とかもあるらしいよ。そこならこの捏造怪文書だって価値があるわけだ」


「自分で怪文書って言っちゃだめだよ。『空に昇る月星2 穢れた翼の光の子供』ってタイトルあるじゃん」


「やめて……中学生のときの黒歴史がむくむくしてくる……」


「黒歴史じゃないと思うけどなあ。むしろ尊敬する。こんなに何かに夢中になったことないよ、あたし」

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