（なぜ『空に昇る月星』がヒットしなかったのか今ひとつわからないギャルちゃんこと有紗とその理由をどう説明するべきか悩むオタクちゃんこと真野）

「あたしみたいなゲーム初心者でも楽しかったしなんでヒットしなかったんだろうね？　システムが斬新っていいことなんじゃないの？」

「うーむ。たとえばシリーズが長く続いてるゲームって、システムやストーリーがある程度パターンになってるから、『あ、あのゲームの新作だ』ってなって買うわけだ」

「ふむ」

「それで、シリーズが進むにつれて、ちょっとずつ新しくなるから、『あ、ここが改善された』ってなるわけだ」

「ほう」

「そこに、誰もストーリーやシステムを知らないゲームをぶち込んで、たとえばゲーム雑誌とかで評価がよくても、雑誌を読んでない昔からのファンはいないわけで」

「あー……つまり要するにリセッターカットやってまーすって宣伝してもリセッターカットがなんなのかわかんなきゃお客はこないのと同じか」

「リセッターカット……？」

「お兄ちゃんが東京で習得してきたやつ。癖っ毛がストパかけなくてもサラッサラになる、特殊なハサミ使ってやるやつ」

「そんなのあるんだ……」

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