81 孤高の人

(画材屋でもらってきた同人誌即売会の申し込み書類を前に難しい顔をするオタクちゃんこと真野とギャルちゃんこと有紗)


「書類自体は悩むことはないよ。ふつうに住所とか電話番号とか名前とか書いていけばいいんだから。問題はサークル名だ。あとサークルカット……」


「スペース代を定額小為替で支払うってなに? 生のお金入れちゃだめ?」


「生のお金は郵便で出しちゃだめだよ……なんか、お金に換えてもらえるチケットみたいなやつだったと思う。郵便局で手に入るって去年のカタログに載ってた」


「かたろぐ?」


「これ。入場券を兼ねてて、一般参加だと一冊300円で買わなきゃないの。サークルカットが載ってて、どのサークルにどんなものが置いてあるか分かるの」


「へえー! 面白! 見せて見せて!」


「はい」


「ほー……え、名探偵くんとか海賊とかも、び、BL? にしちゃう人いるの?!」


「どんな作品でも男が二人いればBLにしちゃう人種もいるんだよ」


「いろんな人がいるね……」


「わたしはそれは好きじゃないと思って逃げ出したわけ。わたしは静かにただシギくんを愛でられればそれでいいの」


「マヤちゃん、孤高の人だ……」

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