35 漢気

(完全に風呂に入るタイミングを逸しているギャルちゃんこと有紗)


(有紗に髪を梳かしてもらってご機嫌のオタクちゃんこと真野)


「うっわあスベスベのストレート……うらやま……」


「えへへ……小さいころから髪だけは褒められてたから3年ほど伸ばしっぱなしにしちゃった」


「サロンのシャンプーよかったっしょ?」


「うん、家で使ってるのとぜんぜん違う。……アリサちゃん、お風呂入ってきたら?」


「あ……汗くさいもんね!」


「や、あ、そうじゃなくて、匂うとかじゃなくて……お風呂入る順番後回しにしちゃってごめん……」


「や、えっと、いいんだよ! ほら、あたしスッピンが化け物だから! 人前でスッピンになる勇気なくてさ……あはは」


「アリサちゃんはかわいい」


「は?」


「アリサちゃんはかわいいっ! アリサちゃんはわたしにかわいくなる方法を教えてくれた。アリサちゃんはかわいいっ! スッピンがどんなでも受け入れるっ!」


「あぇ?!(こいつ漢気やべえな?!)わ、わかった。お風呂入ってくる。ヒマならマンガとかテキトーに読んでて」


「はーい。結構いろいろ読んでるね」


(うう……スッピンになるの恥ずかしい……)

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