36 眉毛

(挙動不審になりながら現れたギャルちゃんこと有紗)


(有紗の部屋にあった古い少女漫画を棚に戻すオタクちゃんこと真野)


「ど、どうも。妖怪です」


「えっ?」


「ほ、ほらあ……眉毛ないし一重まぶただし髪も癖っ毛だし……やっぱり妖怪だよ……」


「そうかな。全然気にならないけど。眉毛抜き出したのいつ?」


「中学のころから抜いてた。いまじゃこんなひどいことになってる」


「すごいじゃん、わたし中学のころほぼ眉毛繋がってたよ。剃るとか抜くとか、高校入試の時から始めたもん」


「え?! 眉毛繋がっててなんか言われたりしなかった?」


「なーんにも。オタク集団にいたしそこから抜けたあとは保健室登校だし」


「うはあ……想像できんわー……オタクの子って本当にメイクとか興味ないんだね……」


「そうでもないよ、当時の仲間でいまコスプレイヤーやってるのがいる。体型がごんぶとだけど」


「ごんぶとコスプレイヤー……本人はどう思うんだろ」


「知らない。痩せなきゃないとは思ってるんじゃない? ここ田舎だから質が悪いレイヤーしかいないしわからないけど」


「へぇ……コスプレって質とかあるんだね……初めて知った……面白……」

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