15 尊敬

(買った色付きリップを眺めるオタクちゃんこと真野)


(そんな真野をニコニコで見るギャルちゃんこと有紗)


「……あのさ、アリサちゃんって、わたしが中学でトラブった話、聞いてこないんだね」


「なんか変? だって嫌じゃない?」


「嫌……っていうか、逆にこの境遇理解しろよ! みたいなところはあるかな……」


「んー、あたしはマヤちゃんじゃないからマヤちゃんがなにを考えてるかとかはよくわかんないし、たぶん中学のトラブルの話聞かされてもよくわかんないと思う! あたしマジもんのバカだから!」


「ごめんね、強い言い方して」


「キニシナーイ。あ、らいとのべる? 読み始めたよ。イラストいっぱいで面白いね、主人公めっちゃ好き」


「あぅ?!(この場を和ませるために言ったと思われるが、しかしそれでも同じ本を面白いと思えるのは素晴らしいことだ……!)それはよかった、無理に勧めちゃったかと思ってた」


「んーん、マヤちゃんみたいに本いっぱい読むひとになりたいんだあ〜。尊敬するー」


「あぇ?!(わたしを?! 尊敬する?! 逆だよ!!)わ、わたしもアリサちゃんのこと、尊敬してる!」


「え?!(やばっ、面白!)」

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