345:僕の一番/IVCS開幕!
「んっ⋯⋯」
私は気絶していたのだろうか。
優希くんに迫られて気絶しちゃうなんてなんて情けないんだろう。
『あっ薫さん、目が覚めたんだね?』
起き上がると目の前には優希くんと、完全に優希くんにやられた後であろう死体達がいた。
「⋯⋯これ、優希くんが?」
『ふふっ、そうだよ?
二人とも僕が耳元で囁くだけですぐこうなっちゃうんだもん』
「それにしても⋯⋯これ二人とも大丈夫なのかな?
軽く痙攣してるような⋯⋯」
『ちょっとやりすぎちゃったかも。
でも⋯⋯そのお陰で』
そう言いながら優希くんは私に近付いてくる。
すると、優希くんは座り込んでいる私の顎をクイッと上げると、私にキスをしてくる。
『二人っきりになれたね』
「えっ」
『何、その顔?鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしちゃって』
「き、きききき」
キス!?う、嘘!?優希くんが!?!?
『ふふっ、可愛い反応ありがと。
でも、多分僕は元に戻ったらこの記憶は無くなってるかも。でも、僕の中で一番は⋯⋯薫さんだよ』
「ふぇ!?」
『普段の僕がそれを口に出来るのはいつになるかわからないけど。だから⋯⋯待っててね』
私は首を縦に振ることしか出来ない。
『せっかくだから、何かして欲しいこと⋯⋯あるかな?』
「も、もう限界だから⋯⋯膝枕とか、お願いしても良い?」
夢みたいな状況かつ、いつもなら気絶してるようなシチュエーションに私はもう限界だった。
『もちろんいいよ。薫さんも耐性つけれるように頑張ろうね?』
「う、うん⋯⋯」
夢なら醒めないで欲しい。でもこれが現実と訴えるかのように、私の意識は朦朧としてくる。
「おやすみ⋯⋯優希くん⋯⋯」
『おやすみなさい。薫さん』
ここまで頑張った私を褒めて欲しい。
♢
「んっ⋯⋯?」
僕は目が覚めると何故か薫さんを膝枕していた。
「あれ?どういう状況?」
薫さんはなんだか凄く安らいだ顔をしてるし、華さんと綾乃さんはなんか変な風に倒れてる。
綾乃さんに至っては軽く痙攣起こしてない?本当にこれ大丈夫?
「か、薫さん?」
もぞもぞと薫さんが動き始める。
「ん⋯⋯優希⋯⋯くん?」
「だ、大丈夫ですか?」
「元に⋯⋯戻ったんだね⋯⋯」
「元に⋯⋯?」
「今回のトランスはやばかった⋯⋯ね」
心なしか声がか細いような。僕は一体何をしてしまったのかな!?
「ぼ、僕何をしちゃったんですか⋯⋯?」
「⋯⋯」
僕が薫さんにそう問いかけると、薫さんは黙ってしまった。
えっ、本当に僕何かしちゃった??
責任取って⋯⋯?とか言われちゃうやつ!?
「えっと⋯⋯優希くんが心配してるようなことはしてないと⋯⋯思う」
「ほ、本当ですか!?」
自分の記憶が無さすぎるせいで本当に大丈夫だったのか不安で仕方ない。
「う、うん!だ、大丈夫!」
「なんでちょっと間が空いてるんですか!?」
「き、きっと大丈夫⋯⋯多分」
そんな話をしていると、華さんと綾乃さん達ももぞもぞと動き始めた。
「ひ、ひど嬉しい目に遭ったの⋯⋯」
「破壊力が⋯⋯やばかったです⋯⋯」
「これは練習とか何度もやってたら私達の体が保ちませんよ⋯⋯」
「お花畑が見えたの⋯⋯」
「えっと⋯⋯おはようございます?」
「優希くんは元に戻ったみたいですね⋯⋯って何で膝枕してるんですか!?ずるいです!!」
「うおー!ぼくもして欲しいの!!」
「僕も起きたらこんな感じで⋯⋯正直何でかはわからないんです!」
「ぐぬぬ⋯⋯気絶してた自分が恨めしいですね⋯⋯」
「こうなったらまた練習するしかないの⋯⋯」
「え、えぇ!?」
そう言いながら僕の方へジリジリと距離を詰めてくる華さんと綾乃さん。
「優希くん、私が守ってあげるからね」
「え、えっと⋯⋯お願いします?」
それからまた、地獄絵図が始まった。
♢
私は優希くんのトランス状態克服の特訓をあれからも続けた。私も含め、全員が死んだ。
流石に2回目はゆかちゃんモードになっていたけど、本当に最初のトランス優希くんはやばかった。
抑えつけてた部分が壊れたと言えばいいのか、とにかく優希くんが今までならやらなかったようなコトをするんだから。
⋯⋯私なんてキスされちゃったし。ふふっ。
ってそんな事は置いておいて、私は今始まろうとしている優希くん達の出る大会の配信を見ようと待機している。
流石に優勝は無理だろうけど⋯⋯良いところまでいけると嬉しいな。応援、頑張らないと。
【お待たせ致しましたッ!いまなんじの0期生、月乃ミーコです!今日は私がIVCSのメインMCを務めさせていただきますッ!】
【まずは参加する選手達にインタビューをしてから試合の方を始めたいと思いますッ!流石に全員に聞いていたら時間がなくなってしまうので各チームの代表メンバーに意気込みの方を聞いていく形になりますがご了承くださいッ!】
そうして月乃ミーコは各チームの代表にインタビューをしていくと、気が付けば優希くんのいるチームの番が回ってきた。
【ふわりちゃん、今回の意気込みをお聞かせくださいッ!】
「ワタシハ、ユカチャンヲゼッタイマモリマス」
【ふ、ふわりちゃん?だ、大丈夫?】
「ダイジョウブデス、ユカチャンカワイイヤッター」
【え、えぇ⋯⋯リーダーが使い物になってない⋯⋯こ、こうなったらなのちゃん⋯⋯でもいいか】
「ダイジョウブナノ、サーチアンドデストロイナノ。
ユカチャンハボクガゼッタイマモルノ」
【ど、どうして二人とも壊れてるんですかああああ!?!?】
「⋯⋯これはダメかもしれない」
流石にあのトランス優希くんは⋯⋯体に障ったかな。
そうこうしている間に第一試合が始まろうとしていた。
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