279:カオスすぎる通常配信!

「はっ!?」


 何か嫌な予感がします。


「もしかして⋯⋯優希くんの身に何かが!?」


 そう思った私ですが、確認する手段がありません。


「流石に電話するのは⋯⋯迷惑ですよね」


 うぅ、でも気になります⋯⋯


「でも、この予感は⋯⋯無視出来ない気がします」


 このままでいたら、優希くんが誰かに取られてしまう、そんな予感が。


「かといって、私に何が出来るんでしょうか⋯⋯」


 ライバルは多く、そして全員が強いです。

 ビジュアルのHaruさん、繋がりの強いゆるママさん。


「私は⋯⋯」


 ただ、優希くんが私を、Vとしての私を推してくれていただけ。

 Vとしての私が好きだとしても、“私”という人間に対してどんな印象を持っているのか、わかりません。


「はぁ、どうすればいいんでしょう⋯⋯」


 そんな事を考えていると、今日の優希くんの配信が始まる時間になってしまいました。


「うん、とりあえず推し活して気を紛らわせましょう!」


 そんな事をしているから、距離が縮まらないのかもしれませんけど⋯⋯



「あああああああああああ!!!」


 わたしはまた思い出していた。


「わたし、大胆すぎだよおおおお!!!」


 優希くんにファーストキスをあげたあの日を。


「うぅ⋯⋯優希くんは恥ずかしそうにしてただけだったけど嫌がられてないかなぁ」


 ちょっと前まで、関係が戻らなくて悲しんでいたって言うのに、今度は距離を詰めすぎてもやもやしてしまっている。


「はぁ⋯⋯辛いよぉ」


「かといって、優希くんに返事はゆっくり待つなんて言っちゃうし、何やってるんだろ⋯⋯」


 優希くんの性格考えたら明らかに押せ押せGOGOだったよね!!


「頼りになる人って思ってもらいたいからって余裕ぶったのが間違いだったよぉ⋯⋯」


 ベッドの中でじたばたとしていると、気が付けばもうこんな時間。


「とりあえず優希くんの配信見て落ち着こう⋯⋯」



「由良ああああ!!」

「いきなりどうしたのさ、お姉ちゃん」

「聞いてよ!!」

「いや、聞くって!落ち着いてよお姉ちゃん!」

「実はね⋯⋯」


 私は今日あったことを由良に包み隠さずに伝えた。


「別に優希くんに聞かれてた訳じゃ無いんでしょ?

 だったら、大丈夫じゃない?」

「でも、実は聞いてたなんて可能性もあるわけで⋯⋯」

「そんな漫画や小説じゃないんだから⋯⋯寝てたなら大丈夫だって」

「しかも帰る時、なんか優希くんがソワソワしてたような気がしたしぃ⋯⋯」

「乙女か!?」

「だってぇ⋯⋯」

「まぁまぁ、お姉ちゃん一旦落ち着こう?ね?」

「う、うん。臼と杵ってどこにあったっけ?」

「餅じゃない、落ち!!」


 そんなこんなで由良に相談したりしながら私は優希くんとの関係を進める方法を考え続けた。


 そして、優希くんの配信がもうすぐ始まる。



『リス兄、リス姉こんばんは!

 白姫ゆかだよ♪』


:待ってた

:生きがい

:あぁ^〜

柿崎ゆる:ゆかちゃんお疲れ様。さっきぶりだね

浮雲ふわり:ゆかちゃんこんばんはー!

浮雲ふわり:さっきぶりってどう言うことですか?

:来た瞬間に豹変するのやめろwww

:流れるような豹変振りに草

:初手事故は笑うんよ


『え、えぇ!?

 さっきって言っても、ちょっと案件の関係で色々お手伝いしてくれてただけだよ?』


:えぇ!?たすかる

:案件?なんかあったっけ?

:知らないかもー

浮雲ふわり:さっきの予感はそれでしたかー

:ん?

:なんかヤバいこと言ってない???


『予感!?予感って何!?

 あ、あと案件だけど、いつものGloryCuteさんの案件だから、そのうちお知らせ出来ると思うから待っててね!』


:ほう⋯⋯(やべぇ女性服買う勇気は無いわ)

:え、ええやん(震え声)

:ゆかちゃんコラボの服いいなぁ⋯⋯出たら買おうかな?

:今この瞬間だけはリス姉達が羨ましいぜ⋯⋯


『あっ、今回は服ではない⋯⋯はずだよ!』


:待って不安になる!!!!

:マジで出たら買うか迷うんだよ!!

:へっへっへ、リス兄諸君残念だったねぇ!

:私達リス姉はいつでも服はウェルカムなのよ!

:なぁ、ゆかちゃんの着るような服似合う女の人ってさ、ほぼロリじゃね?

:あ

:あ

:やめろサスケェ!その言葉は私に効くゥ!

:草

:地味な精神攻撃やめたげてよぉ!


『なんかコメントが大変なことになってる⋯⋯』


柿崎ゆる:わ、私もおそろは恥ずかしいかなぁ⋯⋯あっ、でもゆかちゃんがしたいならいつでもするよ!だから(ry


:長文コメントで草

:切られてるぅ!!!


浮雲ふわり:それだったら私だっていつでもOKですよ!なんだったらお揃いのお家とかどうですか!?


:お揃いのお家ってなんだよ

:家でお揃いとは????

:それは最早同棲では?


浮雲ふわり:同棲なんてしたら私の理性が保つと思いますか?


:自分で言うなwww

:逆なんだよだからwww


『ふわりお姉ちゃんはボクに酷いこと⋯⋯するの?』


浮雲ふわり:しま(ガリッ)せんよ!


:だから出てるんだってwww

:出ちゃいけない言葉www

浮雲ふわり:小粋なジョークですよー?

柿崎ゆる:ふわりさんの所よりうちの方が安全だよ?

:唐突なバトルで草

:ゆるママVSふわちゃん!レディー!ゴー!

:清楚感ではゆるママの圧勝ですね

:でもなんだかんだふわちゃんは愛が深そう

:おい待て、お前ら落ち着け!ふわちゃんは企業勢だぞ!?ユニコーンが現れるぞ!?


ユニコーン

ふわちゃんなら仕方ないと思います

¥300


:公認すな!さてはお前ユニコーンじゃないだろ!!

:推しの理想にどうやってもなれない人間の気持ち、考えたことある?

:うん、なんかごめん⋯⋯


『きょ、今日は一段と賑やかだねっ!』


:このカオスっぷりを賑やかで済ませるゆかちゃんある意味すごい

:うん、賑やかだね(震え声)

:わ、わたしもあの二人と一緒にゆかちゃんの取り合いしたい

:えぇ⋯⋯

:自らカオスに身を投じるのか⋯⋯


『まぁ、一旦その話は置いておいてね?

 実は来月ボクのデビュー1周年なんだよ!』


:おぉー!そういえばもう1年なのか!

:スパチャ投げる用のお金取っておかないとなぁ

:そうだなー

:スパチャ以外はダメ?干し芋とか!

:確かにお金よりも物でも良いならそれも良いな

浮雲ふわり:高級ホテル予約しておきますね

:おいお前お持ち帰りする気だろ!?

浮雲ふわり:失礼ですねー!?美味しいフレンチが食べられるホテルなんですよー!?

柿崎ゆる:良くそんな場所知ってますね?

浮雲ふわり:え、えっとその⋯⋯ググりました⋯⋯

:素直で草


『えへへ、気持ちは嬉しいけど、皆も自分の生活を大事にしないとだめだよ?

 あと干し芋のリスト⋯⋯どうしようかな?

 特に欲しい物が浮かばないんだよね⋯⋯元々そんなに物欲が無いから余計に⋯⋯

 あとふわりお姉ちゃんは、ボクそういう格式高いお店とかは苦手だから遠慮しておこうかな⋯⋯?気持ちはすーっごく嬉しいから、そこは勘違いしないで欲しいな!』


:優しい

:じゃあゲームとかを蒸気ギフトで送るのとかどう?

:それも良さそうだね

:実況してみて欲しいゲーム送るのも良さそう

:でも送られたらやらなきゃって負担になりそうじゃない?

:確かに

:難しいなぁ


『み、みんな送るのが前提なの!?』


:記念枠だしね

:記念枠は投げどきよ?

:そうそう、おとなしくスパチャの暴力に屈するべき


『え、えぇ⋯⋯』


浮雲ふわり:じゃあ私もおとなしくスパチャで我慢しますー

柿崎ゆる:私は新衣装用意しておくね

浮雲ふわり:うわああああああ!!!これだから技術持ってるガチ恋勢はあああああ!!!

柿崎ゆる:が、ガチ恋勢言わないで!?

:間違ってないからいいんちゃう?

:わいらはてぇてぇ摂取できるからええで

:うぅ⋯⋯わたしもぉ⋯⋯

:時々ガチ恋勢おるの草


『ま、まだ先だからお手柔らかに⋯⋯ね?』


:ふふっ

:へへっ

:むっふっふ

:にちゃぁ

:にっこり

浮雲ふわり:にこっ

柿崎ゆる:怖いよ?


『本当お手柔らかにね!?

 冗談とかじゃないからね!?』


------(作者より)------

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