268:華さんのお家で(前編)

「よし、そろそろ準備していきましょうか!」


 私は、ブライニングを終えた後に醤油、お酒や隠し味にニンニクなどで味付けをしたお肉に米粉などをブレンドした粉の中に投入。


 お肉に粉が付いてきたら馴染ませて、少し霧吹きで水をかけて乾燥させるとカリッと揚がると聞いたのでその通りにやっていきます。


「あとは優希くんを起こして⋯⋯と」


 私は気持ちよさそうに寝ている優希くんを起こすのは悪いと思いつつも声をかけました。



「⋯⋯くん、優希くん」


 ふわふわとした気持ちの良い感触に包まれていた僕に突然声がかけられた。


「んっ⋯⋯この声は⋯⋯華さん?」

「おはようございます、優希くん」

「僕、寝ちゃってたんですね⋯⋯」

「ふふっ、良い寝顔でしたよ?」

「うぅ⋯⋯寝ないようにって思ってたんですけど、あのソファに座ったら一瞬でした⋯⋯」

「ですよね!私も疲れた時なんかに座ると一瞬で眠ってしまうんですよ?買って良かったなって思いはするんですけど時間がもったいなく感じちゃうのがネックです⋯⋯」

「でもあの座り心地体感しちゃうと買おうか迷っちゃいます⋯⋯」

「私としてはオススメですよ?」

「か、考えておきます!」


 あれに慣れちゃったら本当にダメ人間になっちゃいそうだし⋯⋯!


「とりあえず、そろそろ揚げようかなって思ったので起こしたんですけど、食べられそうですか?」

「はい!お腹ぺこぺこです!」

「それは良かったです!それじゃあ、揚げたてをいっぱい食べてくださいね!」

「はい!」


 そして華さんはキッチンへ戻っていき、しばらくすると美味しそうな香りが漂ってきた。


「良い香り⋯⋯」

「この揚げている時の匂い、凄く良いですよね」


 そう言いながら華さんはからあげの乗ったお皿を持ってこちらへやって来た。


「これで完成です!結構多めに作っちゃいましたけど大丈夫ですか?」

「これくらいだったら大丈夫です!」

「ふふっ、さすが男の子ですね!」


 どこか嬉しそうな顔をしながら料理を運んでくれる華さん。僕も座っているだけなのはちょっと居心地が悪かったから、お手伝いをして一緒に食べる事にした。


「「いただきます!」」

「たくさん食べてくださいね!」

「はい!ありがとうございます!」


 からあげを一口食べるとカリっと音がして、とても噛み心地の良い衣、それと少し濃いめの味付けがたまらない。


「華さん、からあげ凄く美味しいです!」


 僕は思わずそう口にしていた。


「ッ!それはみょかったです!」


 華さんはそう言うと、顔を少し赤くしていた。

 噛んだのが恥ずかしかったのかな⋯⋯?


 それから結構な量があったからあげはすぐになくなってしまった。


「ごちそうさまでした!」

「こちらこそ、ごちそうさまでした⋯⋯」


 食べ終わるとごちそうさまを言い、華さんにお礼を言う。


「えっ?」


 あれ?こちらこそ?

 僕何かやったっけ⋯⋯?


「い、いえ?おそまつさまって言っただけですよ?」

「?」


 僕の聞き間違え⋯⋯かな?


「あっ、そういえば、駅ナカで買ったプリン、凄く美味しくて、たくさん買っちゃったからまだ2個残ってるんですけど、1つ食べませんか?」

「えぇ!?そんな、大丈夫ですよ?」


 プリンは大好きだけど、そこまでしてもらうのは、なんか悪いような⋯⋯


「むしろちょうど明日までなので、食べてくれると嬉しいです!」

「そ、それなら⋯⋯お願いします!」


 楽しみだけど、何か僕もお礼を考えておこうかな?


「はい、これです!もしかしたら、優希くんならお店知ってるかもですけど⋯⋯」


 そう言って華さんが持ってきてくれたのは神戸の方にあるお店のなま杏仁プリンというものだった。


「あっ、これはわからないですね!」

「本当ですか?だったらきっと、美味しくてびっくりしちゃいますよ!」


 華さんにそこまで言わせるこのプリン、凄く気になって来ちゃった。


「それじゃ、このスプーン使ってくれて大丈夫ですからね!」

「ありがとうございます!」


 そしてスプーンとプリンを受け取った僕は、プリンを一口食べた。


「!?」


 美味しい!一瞬杏仁豆腐みたいな香りがしたと思ったら次にやってくるのはなめらかプリンのとろけるような食感。


「美味しいですよね?」

「は、はい⋯⋯凄く⋯⋯どこで買えるんですか?」

「この辺りだとお店が無いらしいので、お取り寄せになっちゃいますね?」

「お取り寄せですか⋯⋯」

「⋯⋯そ、そうだ。

 実はこれ、なのちゃんもハマってて、今度は私の家でお取り寄せしようかって言ってたんです。

 だから、優希くんが良ければ一緒にお取り寄せしておきましょうか?そうすれば、送料も無料になると思うので!少し追加して無料で送ってくれるならそっちの方が絶対お得だと思いますから!」

「⋯⋯良いんですか?」

「ただ流石に届いたら教えるので、その時は取りに来てくれると嬉しいです!ついでに、オフコラボとかやっても良いんですよ?プリン食べるオフコラボとか、平和で良いと思います!」

「⋯⋯確かにそうですね!その時はお願いします!」

「一応、来月の初め頃に頼むってなのちゃんと相談してたので、その時の土日のどっちかを空けてくれれば大丈夫です!」

「わかりました!」


 まさかのお取り寄せ、ちょっと来月が楽しみかも⋯⋯!


「あっ、でもそんなにお世話になってるのに、僕あんまりお礼が出来てないと思うんですけど⋯⋯」

「そんなの気にしなくても大丈夫ですよ?」

「それはちょっと気が引けちゃうというか⋯⋯」

「な、なん⋯⋯いえ、折角ですし、肩をマッサージしてもらう⋯⋯とか大丈夫ですか?」

「はい!そんなことでお礼になるなら!」


 そして僕は華さんの肩をマッサージしてお礼する事にした。


 マッサージといえば⋯⋯昔お父さんやお母さんにやってあげたら喜んでくれたっけ。



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作者の二兎凛です。

今週の金曜日、11/18日に失恋Vtuberのコミカライズ2巻が発売になります!

発売を記念して、カウントダウン的な感じで5日間連続更新をしたいと思います!!!!

僕がんばれ!!!!!!

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