261:WCS日本代表選考会結果発表!
先輩と分かれて少し経ち冷静になってきた僕は、恥ずかしい気持ちを抑えながら先輩と合流する事にした。
「⋯⋯先輩、戻りました!」
「ゆっ、優希くんおかえり!!
もうちょっとで結果発表らしいよぉ!?」
「ふふっ先輩、声がうわずってますよ?」
僕は先輩のテンパりようを見て恥ずかしい気持ちも吹き飛び思わず笑ってしまった。
「ゆ、優希くん?何で笑ってるの!?」
「僕、凄く先輩の前に行くの恥ずかしかったんですよ?なのに僕以上に先輩慌てていて、恥ずかしさなんて飛んでいっちゃいましたよ」
「うぅぅ⋯⋯だって、わたしも一人の女の子なんだよ⋯⋯どれだけ勇気出したと思ってるの!」
「そ、その⋯⋯思い出すと流石に恥ずかしいですし⋯⋯そ、それにもうすぐ結果発表ですから、今はそっちに集中しませんか?」
「むぅ⋯⋯仕方ないなぁ⋯⋯」
先輩はしぶしぶと言った様子でステージの方を向くと、自信がありそうな顔でMCの人を見つめた。
「あれだけやったんだもん、わたし達が勝つよ」
「ま、まぁ尊死者は凄かったですけど⋯⋯それだけで優勝は決まらない⋯⋯ですよね?」
「いやぁ⋯⋯でも会場の盛り上がり方見ても今年は行けそうな気がするけど」
「本当に僕なんかで行けるのか不安ではありますけど、行けるなら行きたいですね」
「うん。そうだね」
あれだけ頑張って来たんだから、どうせならWCSに出てみたい。でもそれは、皆が思っている事なんだけど。
そしてついに来た結果発表。
【今回の日本代表に選ばれたのは⋯⋯このチームだあああ!!】
そして会場のモニターに映し出されたのは⋯⋯
「う、嘘⋯⋯」
「えっ?ほ、本当に?」
僕達の名前だった。
【それでは日本代表に選ばれた二人にはステージへ上がって頂きましょう!】
そう声がかかるが、先輩は起きた事が信じられないのか、フリーズしてしまっていた。
『ハルお姉ちゃん、いこ!』
僕は先輩の手を掴み、ステージに上がる前に自分の中のスイッチを切り替える。
「優希くん⋯⋯? いや、今はゆかちゃんか。
⋯⋯うん、行こっか!」
ボクは先輩の手を取りながらステージへと駆け上がる。
【日本代表に選ばれたお二方、おめでとうございます!少し、お話をお聞きしても大丈夫でしょうか!】
『うん、ボクは大丈夫だよ!』
「わたしも大丈夫です」
【ありがとうございます!
では早速ですが、お二人はどういった関係でしょうか?】
『えっと、ボクとハルお姉ちゃんは同じ学校に通ってたんだよ!
ハルお姉ちゃんは今年大学に入っちゃったけど、今年の冬までは部活とかで会ってたんだ!』
「そうですね、この子⋯⋯ゆかちゃんはわたしにとって可愛い後輩で、⋯⋯そして、わたしの好きな人です」
『ふぇっ!?』
【おぉーっと大胆な告白だ!
と言うかお二人とも女の子では?まさかのキマシ案件でしょうか?】
MCさんが的確なツッコミを入れて来る。
『え、えっと⋯⋯ボクは男なんだよ⋯⋯』
【は? え? マジですか?】
『うん。 本当だよ!』
「あはは、やっぱり皆驚くよね」
会場ではボクが男と言った瞬間に奇声が上がったり、尊死する人がいたんだとか。
【えぇ⋯⋯だってどう見ても女の子⋯⋯それに声も⋯⋯】
『一応この声でVTuberやらせてもらってるからね!自信は⋯⋯今はあるんだ!』
「モニターに出てましたけど、この子は白姫ゆかちゃんって名前で、凄く可愛いからオススメですよ!わたしも毎日動画見てますから!」
『は、ハルお姉ちゃん毎日見てたの!?
な、なんだか恥ずかしいな⋯⋯』
【その反応が女の子なんだよなぁ⋯⋯】
「その反応、やっぱり女の子でしょゆかちゃん」
【私も女の子にしか思えませんね⋯⋯ちなみに男である事はVTuberとして言っても良かったんですか?】
『今は公表してるから大丈夫だよっ!』
【なるほど⋯⋯ちなみに最後の質問ですが⋯⋯その、お二人は付き合っているんですか?】
「『ッ!?』」
「えっと、わたしはそうなれたらいいなぁ⋯⋯とは思うんですけど⋯⋯ライバルが多くてですね⋯⋯」
『ぼ、ボクにはまだちょっと早いかなぁって思うんだけど⋯⋯』
「わたしはいつまでも答えを待ってるから焦らなくて良いよ?」
『う、うん⋯⋯』
ハルお姉ちゃんはボクの頭を撫でながら優しい声でそう言ってくれる。
でも、そう言ってくれるのは嬉しいけど、胸の中がキュッと痛むような気がした。
これが罪悪感ってやつなのかな⋯⋯?
【口の中がお砂糖まみれになってきました。
誰か助けてください】
そうMCさんが言うと会場は笑いに包まれた。
そして後は他愛もない話しをして、最後にボク達が出場するWCSの会場の説明などを受けて解放された。
楽しみだけど、心配事も増えちゃってボクはどうすれば良いのかな⋯⋯?
♢
配信を見終わり裏で綾乃ちゃんと私は話をしていました。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ⋯⋯誰ですかあの女はぁー!!」
「凄く美人さんなの」
「わ、私だって負けて無いと思うんですけどね⋯⋯」
「華も美人さんなの。自信持つの」
「綾乃ちゃんありがとうございます⋯⋯でも優希くんとは距離が詰められないんですよぉ⋯⋯ゆるママさんみたいに会うきっかけも無いですし、あの子みたいにGloryCuteさんみたいな繋がりも無いですしぃ⋯⋯」
「と言うか華は優希君のことガチで狙ってたの?」
「あれ?私って優希くんの事⋯⋯」
私は頭の中で考えてみます。
優希くんとそう言う関係になったら⋯⋯なんて。
「妹みたいに思ってましたけど⋯⋯そうか、私も⋯⋯」
「気付いたのは良いけど、ライバルが強すぎるの」
「そうですね。はぁ、どうしましょうか⋯⋯」
高すぎる壁を思うと溜息が出てきますね。
近いうちにする予定のオフコラボ、何か考えておかないとですね。
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