248:思っていたより⋯⋯?
車を走らせながら周りの景色を見てみると、思っていたよりもガンダ○の世界と言う雰囲気はせず、普通の街並みに見えた。
僕があまり初代を知らないのもあるけれど、明らかにイレブンマートとかがあるのは違う気がする。
「なんか、見覚えがあると言ったら変だけど、普通の町並みだね」
「そうですね⋯⋯なのに上を見るとコロニー独特の円柱状の形で⋯⋯違和感が凄いです」
「あっ、スーパーまである」
「えっ!? あっ、本当ですね!」
薫さんが指を指している場所をチラッと見てみると有名なスーパーが視界に入って来た。
「クオリティは凄いのにこう、異世界感的なのが無さすぎるね」
「でも、上を見ると突然に異世界感覚が⋯⋯」
「凄いね、色んな意味で⋯⋯」
「もうちょっと走ってみますか?」
「そうしよっか」
そうしてもう暫く車を走らせてみると、突然目の前に大きな何かが目に入った。
「あれはもしかして⋯⋯?」
「ほ、本当にあったよ、ガンダ○⋯⋯」
「あっ、ザ○もありますね⋯⋯」
「流石に動いては無いみたいだね」
「これで動いたら流石にびっくりしますよ」
「だね、でもちょっと見てみたい気もするけど」
「それは僕も見てみたいです!」
そんな話をしながら走ってみても、目の前の景色はあまり変わらず、大きな変化が見られなかった。
「よくよく考えてみたら、ガンダ○の世界だって奇抜な建物がいっぱいあるって訳じゃないですし、こんなものなんですかね⋯⋯」
「余りにも普通すぎて逆にリアリティ出てきたね⋯⋯」
薫さんが言う通り、これがリアルだと言われると納得してしまう。 アニメの世界だから一般人の住む場所も派手にしないといけない訳じゃ無いし、これが逆にリアルなのかも。
「そうだ折角だし、他のワールドも見てみない?」
「他のワールドですか?」
「ここは人もいないけど、他のワールドなら人がいるかもしれないし、ちょっといい所無いか見てこよっか?」
「そうですね! 折角ですし楽しそうな所が良いです!」
「じゃあちょっと見てくるね!」
「はい!」
そして他のワールドを探しに行った薫さんを待っていると数分もしないうちに招待が届いた。
「じゃあ招待を受けて⋯⋯っと」
招待を受けて次に入ったワールドは一面の青。
そう、海のワールドだった。
「さっきと比べてクオリティが凄く高い⋯⋯」
「だよね」
「!?」
「あっごめんね、驚かせちゃったね」
「い、いえ!」
景色を見て思わず呟いた僕の隣に薫さんは立っていて、急に視界に入って来た事に僕は少し驚いてしまった。
「それじゃ、折角だし行ってみようか!」
「はい!」
そして海へ入ると⋯⋯
「ゆ、ゆかちゃん⋯⋯ふ、服が⋯⋯」
「えっ? いや、そのゆる先生⋯⋯も」
「えっ、嘘!?」
海へ入った瞬間に、何故か服が強制的に水着に変えられていた。
僕のこのモデルは水着のデータが登録してあった事もあって、夏に公開予定の水着モデルを着ていたんだけど、なんと薫さんのモデルも水着になっていた。
「ゆ、ゆかちゃん⋯⋯その、バーチャルとは分かってはいるけど、あんまりジロジロは見ないでね⋯⋯」
「み、見ないですよ!?」
女の人はそう言う視線に敏感だって言うし、あんまり見ないように気を付けないと⋯⋯
「せ、設定で変えられないのかな⋯⋯水中はだめなの!?」
「じゃ、じゃあ一回出ましょう!」
「そ、そうだね! 一回出よっか!」
そして水辺から出ると、僕達は周囲の視線を一気に浴びた。
「可愛くね?」
「あー! あの子可愛い!!!」
「眼福⋯⋯眼福⋯⋯」
「うーん、どっちも良い」
そうだ、ここにいるのは僕達だけじゃなかったんだ⋯⋯
「ど、どうしましょう⋯⋯」
「と、とりあえずあっち行こっか!」
「えっ? は、はい!」
薫さんに連れられて向かったのは林の中で、林の中は木漏れ日がとても綺麗でどこか幻想的だった。
「って水着から戻ってないよおおおおお!?」
「えっ? あっ、僕もです!」
「と言うか着替えられない⋯⋯」
「どうして⋯⋯って、よく考えたらあのビーチにいた人達全員水着だったような⋯⋯」
「そ、そっか、ビーチだから水着になれって事だったんだ⋯⋯」
「でも、ゆる先生も水着のモデル用意してたんですね」
「してないよ⋯⋯」
「えっ」
「多分、強制だと思う⋯⋯どんな技術使ってるんだろう⋯⋯」
「何か凄い執念を見た気がします⋯⋯」
「私もそう思うよ⋯⋯」
服を戻す事を諦めた薫さんだったけれど、突然僕の方を向き僕の体をジロジロと見始めた。
「んーそれにしても、我ながら良いモデルになってるなぁ」
「ひゃっ!?」
「ひゃっ、って女の子じゃないんだから」
「いや、その、顔がちか⋯⋯」
「そう? でもゆかちゃんの先輩もっと距離詰めてたよね?」
「えっ? 見てたんですか?」
「配信してたからね、アーカイブで見てたんだ」
「う、嘘ぉ⋯⋯」
「とっても可愛かったよ? まぁ、ちょっとおでこキスはズルかったけど」
「あれ死ぬほど恥ずかしかったんですよ?」
「だと思った。 私がやる方でもやられる方でもどっちも恥ずかしいと思うもん」
「ですよね⋯⋯」
「まぁ、どちらにせよここに関してはバーチャルなんだし、気にしない気にしない!」
「結構恥ずかしいんですからね! 実際着てる訳では無いですけど⋯⋯」
「うーん、じゃあさ、こ、今度夏になったら海行ってみない?」
「海⋯⋯ですか?」
「うん! その時は私が服用意とかせずに、普通に遊びに。 それだったら恥ずかしくは無いよね?」
「そ、それならまぁ⋯⋯」
「じゃあ決定だね!」
「暇な日が分かったら連絡しますね!」
「うん! そうしてくれると嬉しいな!」
そして開き直った僕達はビーチでビーチバレーをしたりしながら少し遊んで時間もいい時間になったから今日はログアウトすることにした。
「それじゃゆかちゃん、またね!
WCSの日本代表選考会楽しみにしてるね!」
「はい! 頑張って来ます!」
そしてログアウトした僕はいつも通り寝る準備をしてからベッドに入った。
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