247:VRゲームの世界へ!
薫さんからメールが届いた事に気付いた僕はメールの中身をチェックすると、GWのどこかで暇な日は無いかとお誘いのメールだった。
何でも、とあるVRゲームの世界でエアコミケならぬバーチャルコミケと言うイベントが企画されているようで、実際のコミケとは違い、販売もしながら他人の展示も見に行けると言う事でかなり自由度が高いんだとか。
そしてASMR等の販売も出来るらしく、音源をアップロードしたら、そのゲームを通じて購入者が音源をダウンロードまで出来るんだとか。
勿論手数料なんかは発生するけれど、そこまで高価では無く、気軽に出来ると言う事で近年話題になっているんだって。
⋯⋯と言う訳で僕も面白そうだと思いそのVRの世界に入る為のゲームを導入し、その世界で動き回る為の3Dモデルは白姫ゆかの物を利用してログインしてみると、FPS視点で自由に動き回れる世界がそこにはあった。
薫さんがある程度教えてくれるとの事で都合の合う日を伝えた。
今日教えてもらったワールドに来るって言っていたけど、どこにいるんだろう?
「優希くん、お待たせ!」
少し周りを見ながら待っていると突然声をかけられた。
「あっ、もしかして薫さんですか?」
薫さんらしき人の声のする方を向いてみると、そこには薫さんのvtuberの姿によく似た3Dモデルがあった。
「うん、そうだよ! ってそう言えばこのモデル見せるのは初めてだったね」
「いつの間に3Dモデル用意してたんですか!?」
「ちょっと前に由良の暇な時に手伝って貰ったんだ。 あんまり手の込んでないやつだけど⋯⋯結構似てるでしょ?」
「はい! 手の込んでないって言っても十分過ぎるほどクオリティ高いですよ?」
「ふふっ、そう言ってくれて嬉しいな。
由良にも伝えておくね」
薫さんは笑いながらそう言うと何かを思い出した様に続けて言った。
「そう言えば、このワールドには私達しかいないから今は本名で呼んでるけど、本番の時はちゃんとハンドルネームで呼び合うようにしないとだね」
「そうですね! 何処からバレるかわからないですし⋯⋯」
今回いるこのワールドは薫さんがプライベートで作ったワールドで、パスワードを知っている人じゃ無いと入れない様になっていて、今は僕と薫さんの二人きり。
まずはこのワールドで操作の方法を覚えて本番に備えようって事だね。
「それにしても、結構このワールド広くないですか?」
僕は入った時から思っていた事を薫さんに聞いてみた。
「これでも結構狭い方なんだよ?」
「えっ、そうなんですか!?」
「うん。 本番はビッグサイトを再現したマップでやるらしいから、相当広いんじゃないかな?」
「そんなに凄いんですか!?」
「流石に参加者はそこまで多く無いと思うけど、その分結構広くスペースを使えるらしいね」
「VRの世界想像以上でした⋯⋯」
「この世界でしか出来ない事もあったりして結構面白いよ?」
「え? どんな事が出来るんですか?」
「優希くんだったら、車の運転とかかな?」
「車まであるんですか!?」
「空飛んだりも出来るね」
「そんな事まで!?」
「ワールドの設定によって違うらしいけど、空を飛ぶ時はジェットパックみたいな物が装備アイテムとしてあるみたいでそれを使うみたいだね」
「なるほど⋯⋯」
「あっ、こんなのまであるんだ⋯⋯」
「どうかしたんですか?」
「他の人の作ったワールドで、ガン○ムのスペースコロニー再現してる人もいるんだって」
「えっ?」
スペースコロニーと言えば相当大きいはずだけど、そんなの再現出来るのかな?
「優希くん、そこ公開ワールドらしいけど、行ってみたい?」
「行ってみたいです!
その、ガンダ○とかもあるんですかね⋯⋯?」
「それは私にはわからないかな⋯⋯?」
「それじゃあ実際に行って確認してみないとですね!」
「じゃあ行ってみよっか! とりあえず優希くんにフレンド申請送っておいて⋯⋯」
「あっ、来ました! 承認しておきますね!」
「じゃあ先に私がそのワールド入ってくるから、すぐに招待を送るね」
「はい!」
そしてシュンッと薫さんが消えると、薫さんからワールドの招待が送られてきた。
「はいを押して⋯⋯っと」
招待の承認ボタンを押すと、一瞬ロードが入り、すぐに画面が切り替わった。
「うわぁ⋯⋯凄い⋯⋯」
「本当に凄いね⋯⋯」
切り替わった景色はとても不思議な感じで、上を見ても街があると言う、今までに経験した事のない視点だった。
「これ反対側も作り込まれているんですか⋯⋯?」
「みたいだね⋯⋯」
「どうやって行くんでしょう⋯⋯」
「あっ、あそこで車に乗れるみたいだよ」
薫さんが指を指した場所には有名なレンタカーのお店を再現した建物があり、そこの入り口に行くと、レンタカーを借りる事が出来た。
と言っても実際はログアウトする際に自動で消える様になっているようなので、返しに来る必要は無いんだけど。
「それじゃ、行こっか!」
「あっ、あの⋯⋯少しお願いがあるんですけど、良いですか?」
「どうかしたの? ゆかちゃん」
「ぼ、僕が運転してみたいです!」
「あー、そんなことでいいなら問題無いよ!
ほら、じゃあこっちに乗ってみてね」
「はい!」
運転席に座ってみると、操作の方法が僕の目の前に現れた。
「さ、流石に本物の車みたいな操作の要求は無いんですね⋯⋯」
「流石に今の技術力でそれを求めるのはなかなか酷だと思うよ!?」
コントローラーを握り車を運転する準備が出来た僕はウキウキとした気分で車を動かし始めた。
「それじゃ行きますね!」
「うん! 好きなようにやって良いからね!」
そして僕と薫さんのドライブ(?)が始まった。
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