239:コスプレサミットに向けた最終打ち合わせ!(後編)

「すいません、お待たせしました!」


 先輩は着替えを終えて戻って来ると、椅子に座った。


「さて、遥ちゃんも戻って来た所で、何をするかを考えないといけないわね」

「衣装に関しては基本本人の手作りなのでマネージャーに協力してもらってますけど、何をするかは優希くんとしっかり考えないとですからね」

「えっ!? 先輩が衣装作ってたんですか!?」

「そうだよ? 結構時間かかるけど、将来的にここでモデルだけをする訳じゃ無いからね。

 技術とかも一緒に教えて貰ってるんだ」


 僕はまさかの事実を知って思わず大きな声を出してしまった。


 でも先輩は何でもないような顔をしながら僕にそう返した。


「まぁアタシとしては全面的に協力したいところではあるのだけれどね、コスプレサミットって基本自作や既製品の改造が参加条件って知った時はビックリしたわ。

 まぁ小物くらいはこっちで用意しても良いでしょうけど」

「そう、だからそれを聞いてわたしが今までここで教えてもらった技術を総動員してやってるって感じだね」

「最悪参加出来なかったんですね⋯⋯先輩、ありがとうございます!」

「ううん! 大丈夫! だって誘ったのはわたしなんだもん、これくらいは⋯⋯ね?」

「遥ちゃん毎日頑張ってるから優希ちゃん、良かったら応援してあげて頂戴ね」

「はい!」


 僕が先輩を応援するのは良いけど、どう応援すれば良いのかな? ⋯⋯っていうかそろそろ本題に入らないと!


「それで応援は良いとして、コスプレサミットでは何をしてアピールをするんですか?」

「あー、それなのだけど、アタシから一つ提案があるのだけど、良いかしら?」

「「提案?」」

「そう、これに関してはうちと言うかアタシ個人が協力してあげられる事なのだけど、ダンスとか興味ないかしら?」

「ダンス⋯⋯ですか」


 そう言われてみると、前に恵ちゃんが贈ってくれたモーションキャプチャで踊ってみたとかをして欲しいって言っていたっけ。


「遥ちゃんはどうかしら?」

「学校の授業で多少はやりましたけどそこまで上手じゃ無いですよ?」

「僕も同じくです⋯⋯」


 僕と先輩は学校の授業でダンスをやっていたのもあって基礎くらいは習得している。


 でも本格的なダンスと言われると全く自信は無かったり。


「それなら心配しないで頂戴!

 アタシの知り合いにアイドルとかのダンスのレッスンやってる子がいるのよ!」

「「えっ」」

「だからアタシから声かけてみるから二人とも、レッスン受けてみないかしら?」

「ま、マネージャー本番までそこまで時間無いですよ!?」

「毎日夜にどうかしら? 優希ちゃんも送迎くらいはこっちでしてあげられるわよ?」

「え、えっと⋯⋯先輩が良いなら、僕やってみたいです」

「⋯⋯まぁ、優希くんと一緒に出来るなら、やってみようかな」

「決まりね! ちょっと今電話してくるから待ってて頂戴ね!」

「あっ、はい!」


 そして橋本さんは電話をする為に部屋を出ていくと、僕は先輩と二人きりになった。


「⋯⋯橋本さんって凄いですね」

「本当だよね、どこにあんな人脈があるんだろう⋯⋯」

「でも、先輩も凄いです!」

「ふぇっ!? そ、そうかな?」

「だってあの衣装作ったの、先輩なんですよね?」

「うん。 結構頑張ったんだよ? 少し粗もあるけど⋯⋯」

「僕はああ言うの全然分からないですし、衣装自体も凄く可愛くて、本当に凄いです!

 って、なんか語彙力の低い人みたいですね⋯⋯あはは⋯⋯」

「優希くん、ありがとう!

 わたし、今まで頑張ってきて良かったって思えたよ」


 先輩はとても良い笑顔で僕にお礼を言った。

 僕からすれば、お礼を言いたいのはこっちなんだけど⋯⋯


「二人ともお待たせ⋯⋯ってアタシお邪魔だったかしら?」

「そ、そんな事無いですよ!」

「そ、そうですよ!」

「まぁ、そう言う事にしておこうかしら」

「それで、相手の方はどうだったんですか?」

「勿論OKしてくれたわ」

「流石マネージャーですね⋯⋯」

「そうかしら? アタシの後輩ってだけよ?

 中学の頃のだけれど」

「いやいや、マネージャーの事慕ってなければOKなんて出さないですよ普通!?」

「そ、そうかしら⋯⋯」

「そうですよ!」

「ぐぬぬ、優希ちゃんじゃあるまいし、アタシが褒められて恥ずかしくなるなんて思わなかったわ」


 橋本さんは僕達二人に褒められると恥ずかしそうに髪を掻いた。


「なんだかマネージャーのそう言う姿見るの新鮮です」

「いつも僕や先輩を褒めたりばかりしてますもんね!」

「くぅ、これが褒められるって感覚なのね⋯⋯」

「まぁいいわ、とりあえず明日にでも顔合わせ出来るなら紹介しておくけれど、どうするかしら?」

「明日なら大丈夫ですよ!」

「わたしはいつも夜はここにいますし大丈夫です!」

「じゃあ決定ね、また明日迎えの方出すからよろしく頼むわね」

「「はい!」」


 そして明日から僕と先輩はダンスの練習をする事になった。


 どんな練習をしていくのかは僕には分からないけれど、先輩に迷惑がかからないように少しでも上達出来るように頑張ろう!

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