190:ゆるママVtuber化の宣伝をしよう!

 薫さんと分かれ、家に到着した僕は配信の準備をしていた。


 配信の時に使う物の準備もオッケーで、あとは時間が来るのを待つだけ⋯⋯じゃないんだ。


 もしかしたら薫さんがVCに入ってくるかもしれないから僕もVCに入って待機していた。


 そして配信の十分ほど前になると薫さんがVCに入って来た。


「優希くん、今日はよろしくね」

「はい!」


 自分で誘っておいて来なかったらどうしようかな、なんて考えていただけに薫さんが来てくれた事が何故だかとても嬉しかった。


「優希くん、何かあった?」


 僕の声色が妙に良くなった事に気が付かれたのか薫さんが僕にそう聞いてきた。


「な、何もないですよ?」

「ならいいんだけど⋯⋯」


 薫さんはしぶしぶ納得した様子。

 とりあえず話題を逸らす為に僕は今日の予定について話すことにした。


「えっと、今日は最初の方に薫さんの事を紹介するつもりなので、僕が紹介したら喋ってもらって大丈夫です!」

「うん、分かったよ」

「それじゃあ先に配信スタートしますね!」

「うん、頑張ってね」


 そして僕は深呼吸をすると、配信をスタートした。



『リス兄、リス姉こんばんは!

 白姫ゆかだよ♪』


:待ってた!

:ゆかちゃんこんばんはー

:久々にリアタイだぜえええ!!!

:ヒャッハー!!!新鮮な(ry

:こんばんはー!

浮雲ふわり:待ってましたー

聖曽なの:待ってたのー


ゆかちゃんのお兄ちゃん

こんばんはー

¥1000


『ふわりお姉ちゃんになのお姉ちゃんありがとう! あっ、スパチャしてくれたお兄ちゃんもこんばんは!スパチャありがとねー!』


:あれ?スパチャ直ってる!!

:投げなきゃ(使命感

:今日は何やっていくの?

:スパチャァ!!!


浮雲ふわり

スパチャ復活と聞いて

¥50000


石油王

スパチャ復活ありがとう

¥50000


聖曽なの

なの

¥50000


たかし

待ってました

¥10000


 赤スパだけでも数人出てきて細かいスパチャも含めると数十人の人が投げてくれているみたい。


『!?

 皆投げすぎだよ!?』


:しゃーないよね

:ゆかちゃん不定期にスパチャ切れたままになるからね

:皆投げたがりw


『とりあえず、皆ありがとう!

 でも毎回言ってるけど無茶はしたらダメだからね?』


:はーい(棒読み

:はーい!!!!!!


ゆかちゃん推しの民

はーい!!!!!

¥5000


:草

:投げながら返事すなw


『息をするように投げるねお兄ちゃん!?

 こほんっ、とりあえず今日の予定なんだけど⋯⋯実はお知らせがあるんだよ!』


:お知らせ?

:なんだろ?

:わくわく


『と言う事で⋯⋯どうぞ!』


:どうぞ?

:???

:どゆこと??


「んっ、皆久しぶりだね。

 あんまり声を出す事は無いから少し緊張してしまうね」


:誰?

:誰???

:女の人なのはわかるけど...

:誰だ......?


「皆酷くないかい?」

『あ、あはは⋯⋯

 皆本当にわからない?』


:うーん...

浮雲ふわり:わたしはわかりましたーでも面白いので黙ってますねー

聖曽なの:誰なの?ふわり、なのにだけ教えるの

:まってマジで誰?

:わかんにゃああああああい!


「私って結構空気だったのかな⋯⋯」

『ゆ、ゆるお姉ちゃん元気だして?』


:えっ

:ゆるママ?

:雰囲気違いすぎィ!!

:それは読めないんだ

:俺は気付いてたぜ!

:空気読んで黙ってたw

「名前言っちゃうのかい?」

『だって皆気付いてなさそうだったし⋯⋯』

「ま、まぁ、そうなんだけど⋯⋯」


 そんな話をしていると突然、くしゃみが出そうになった。


『ふぁ⋯⋯へくちっ』

「アッ⋯⋯ 可愛いくしゃみ⋯⋯」

『ゆるお姉ちゃん!?』


:あっ、ゆるママだわ

:正体現したね

:ゆるママだわ...

:これはまごうことなきゆるママだ...

:ゆるママですわ...

浮雲ふわり:私は何度か会ってるので声でわかりましたけどねー?

聖曽なの:予想外だったの...


「あ、危なかった⋯⋯」

『キャラ崩れてるよゆるお姉ちゃん!?』


「ピヨッターならまだしも、やっぱりキャラを演じるなんて私には無理だったんだよ⋯⋯

 それにゆかちゃんにお姉ちゃん呼びされるだけで悶えるレベルなんだよ?」


:しゃーない

:でもゆかちゃんに言われたらなぁ

:俺ならまともに声出ないと思う

:私は...どうなるだろ?


『え、えっと⋯⋯と言う訳でゆるお姉ちゃんでした!』

「あっ、取り乱してごめんね。

 とりあえずゆかちゃんから紹介してもらったけど、私からお知らせがあるの」


:と言うことは...

:まさか?

:とうとう?


「皆の想像の通り、私のVtuberのモデルが完成しました!

 と言っても2Dモデルなのでゆかちゃんみたいには動けないけど⋯⋯

 あと、配信の開始予定は三月からを予定しているから、良かったら見に来てくれると嬉しいかな?」


:うおおおおお!

:もちろん見に行く!!!

:ちなみにどんな事やるの??

浮雲ふわり:ゆかちゃんのイラストをもっとですねぇ...

:わかる

:ぐうわかる

:ゆかちゃんの新規イラストはよ...!はよ!!


「ふふっ、本当に皆ゆかちゃんの事が大好きだね。

 私もだけど⋯⋯一応配信ではお絵描きをしたり、ゆかちゃんと一緒にやるゲームの練習とかをしようと思ってるから、その時を楽しみにしててね」


:お絵描き配信!!!

:俺得じゃあああああん!

:私、絵の練習したかったから参考にさせてもらいます!

浮雲ふわり:ついでに私も技術を盗みますかー?

聖曽なの:自給自足する気なの?


「簡単に描けたら誰も苦労しないよ、とは思うけど、私なりの絵の描き方の解説なんかも出来たらいいなって思ってるから、その時は参考にしてくれると嬉しいな」

『と言う訳でゆるお姉ちゃんがもうすぐVtuberデビューするってお話だったよ!』

「ゆかちゃんに宣伝する?って言われた時は本当焦ったんだよ?」

『宣伝出来たからオッケーって事でだめ⋯⋯かな?』

「オッケーだよ!!!!」


:即堕ちで草

:二コマ漫画かな??

:声若返りすぎw

:子供の返事レベルで草


『と、こんな話してばかりだと配信が進まないよね⋯⋯そこで今日は皆に二つの選択肢があるんだけど、選んでみる?』

「二つの選択肢?」

『うん! 今日はここからボクがゆるお姉ちゃんと一緒にゲームをやる、もしくはゆるお姉ちゃんや僕にましゅまろを投げたいか、好きな方を選んでね!』


:迷う...

:どうしようか...俺はましゅまろ!

:俺は一緒にゲームやるところ見てみたいな

:ましゅまろかなぁ


 そしてボクがリス兄達にそんな二択を突き付けると、リス兄達はコメント欄で盛り上がり、あーでもないこーでもないと己の欲望に忠実になりながら話し合いをし始めた。

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