178:テスト明けといえば打ち上げだよね!

 とうとうやって来た学生の大事なイベントの一つである期末テスト。


 二年生である僕たちからすると将来自分の進む進路に関わってくる大事なテスト。


「⋯⋯とは言っても僕は東大とか目指してる訳じゃないから平均点取れればいいんだけどね」

「まぁ俺も似たようなもんだな、とりあえず親が大学までは行っとけって言ってるからそれなりの所へ行ける程度は勉強してるが」


 僕は試験開始前に裕翔とそんな話をしていた。


「でも裕翔だったら陸上やってるし、その辺のコネとかで入れたりしないの?」

「んー、特にそんな話は聞かないな⋯⋯あったら楽なんだけど、そこまで甘くはないだろ流石に」

「そんなもんかなぁ」

「そんなもんよ、んじゃそろそろチャイムなりそうだし、席戻るわ。

 優希なら大丈夫だとは思うけどお互い頑張ろうぜ」

「うん、裕翔もファイト!」


 そしてチャイムが鳴るとHR(ホームルーム)が始まり、一限目からテストが始まった。


 テストは三日かけて行われ、僕らはずっと集中して問題を解き続けた。

 僕はそれなりに出来ている感触はあったから、そこまで悪い点数では無いと思いたいな。


------


 そしてテストが終わった僕たちはテストの重圧から解き放たれて、開放感に満ち溢れていた。


「よっしゃあああああ!!

 これで試験は終わりだあああ!!」

「あはは、裕翔お疲れさま」

「優希こそお疲れさん!

 それにしても今回の数学難易度高くなかったか?」

「うーん、難しいと言えば難しかったけど、無理ゲー感はなかったかな?」

「公式覚えてなかったら死んでたわ俺」

「裕翔もなんだかんだで頭いいよね」

「んー、そうか? あんまり実感無いんだが」

「だって僕みたいに授業と軽い復習くらいしかしてないでしょ?下手すると僕より勉強時間短いんじゃない?」

「あー、かもしれんな。

 一日一時間も勉強してないわ」

「でしょ?それで平均点はなんだかんだで取るんだし、十分頭良いと思うけど」

「俺、もしかして天才⋯⋯?」

「そこまでは言ってないよ!?」

「まぁそれは冗談として、久しぶりにカラオケでも行かないか?」

「カラオケ? 裕翔がカラオケなんて言い出すなんて珍しいね」

「せっかく早めに終わったやつだし、おまけに今日は部活も無いしな」

「それじゃカラオケ行く?」

「そうしようぜ」


 テストの最終日は四限で終わる事もあり、僕達はカラオケに行くことに。


「なんかいい話をしてるね⋯⋯」

「私も行きたいなぁ⋯⋯」

「優希くんとカラオケ⋯⋯てぇてぇ⋯⋯」

「ん?香月さん達も行くか?」

「いいの!?」

「優希が良いって言ったらな?」

「僕は大丈夫だよー」

「やたっ!」

「優希くんの生歌⋯⋯楽しみ⋯⋯」

「欲望全然隠さないよねしのちゃん」


 そこに香月さん達三人が聞き耳を立てていたのかこちらへやってきて、一緒に行くことに。


 HR(ホームルーム)が終わると僕達五人は駅前にあるカラオケ店にやってきた。


「カラオケ来るの久しぶりかも」

「僕も久しぶりだねー」

「俺、何ヶ月ぶりだろう⋯⋯」

「私はいつも来る時はしのちゃんや天音ちゃんと来るんだけどテスト前だったから我慢してたんだよねー」

「うん⋯⋯勉強は大事⋯⋯」


 そして僕達は店員さんに渡された紙に書いてある部屋に入った。

 その時にドリンクバーのコップを貰っていたので、ついでにドリンクも取って行ったよ。


「と言うわけでテストお疲れさん!」

「「「「お疲れさま!」」」」


 そう言うと、全員手に持っていたドリンクをごくりと飲み干した。


「くぅ!やっぱ冷えたコーラは最高だなぁ!

 普段あんまり飲まないようにしてるからこそ美味しく感じるぜ!」

「僕はカルピス派かなぁ、なんか安心するんだよねー」

「私は紅茶派⋯⋯かな」

「しのちゃん本当紅茶好きだよね」

「午後ティーを午前に飲む背徳感なんてもうやばいってものじゃない⋯⋯よ?」

「いやいやそこまでじゃないでしょ!」


 そんな飲み物談義で盛り上がっていると裕翔がデンモクを手に取った。


「誰か先入れるか?

 せっかくだし、早速歌おうぜ!」

「いいねいいね!

 わたし、優希くんの歌聴きたいな!」

「配信じゃ聴けないようなのもお願い出来るのはリアル知ってる私たちの特権だよね!」

「可愛い系の曲、歌って欲しい⋯⋯な」

「まぁ、良いけどあまり上手くなくてもがっかりしないでね?」

「「「「しない!!」」」」


 ちゃっかり裕翔も混じってるのは何でなんだろう?



「⋯⋯ふぅ」


 希望された曲はまさかのふわちゃんの曲、その中でも可愛い雰囲気の曲で、僕も好きな曲。


「上手だったよ優希くん!」

「ほんとほんと!」

「可愛かった⋯⋯すごく」

「やっぱ優希実は女説あるだろ」

「裕翔!? 何言ってるの!?」

「「「うんうん」」」

「三人とも頷かないで!?

 僕は間違いなく男だからね!?」

「だが⋯⋯それがいい⋯⋯」


「の、飲み物取ってくるっ!」

 ちょっと恥ずかしくて、僕は思わずカップを手に取り部屋を出た。


「あっ、優希くん行っちゃった⋯⋯」

「言い過ぎた⋯⋯かな⋯⋯?」

「わたしも言い過ぎちゃったかなぁ」

「んー、まぁいつもの事だしそこまで気にしなくても良いと思うぞ?」

「「「いつもの事なの!?」」」


------


「うぅ、思わず部屋出ちゃった⋯⋯

 とりあえずカルピス入れていこうかな?」


 僕は気を取り直してドリンクバーの機械の所へ行き、次に飲む飲み物を物色していた。


「カルピスソーダも好きだけど、カラオケ中だとゲップが出ちゃうと嫌だしなぁ⋯⋯」

「あれ? もしかして優希くん?」

「この声は⋯⋯華さんですか?」

「あー! やっぱり優希くんだ!

 今日はこんな所で奇遇だね!」

「もしかして配信の関係ですか?」

「違うよ、今日は綾乃ちゃんと二人で作戦か、んっ! 遊びに来たんだよ」


 突然話かけられたと思ったら華さんも偶然ここに来ていたみたい。

 凄い偶然だよね!


「それで優希くんは一人で来たのかな?」

「今日は友達と来てるんですよ!」

「そうだったんだね、良かったら一緒にどうかと思ったけど、友達と一緒なら仕方ないか、それならまた近いうちにコラボでもしないかな?

 勿論ちゃんとマネージャーに許可取っていつやるかも告知してね」

「それなら⋯⋯良いですよ?」

「良かった、じゃああんまりお友達待たせても可哀想だし、私も戻ろうかな?」

「あっ、そうですね! 僕も戻ります!」

「じゃあまたメール送るから、よろしくね?」

「はいっ!」


 そして僕は華さんと分かれて、部屋へと戻った。


「おう、優希遅かったな」

「たまたま知り合いとばったり会って少し話してたんだ」

「そうなのか、珍しいな」

「僕も偶然でびっくりしちゃった」

「んじゃ適当に歌ってこうぜ!」

「うん!」

「じゃあ優希くん! この曲一緒にうたお!」

「わ、わかったよ!」


 その後凄く盛り上がって、皆帰る頃にはクタクタになってたのはここだけの話。


------

「綾乃ちゃん、聞いてください!!」

「んっ、華ってばどうしたの?」

「さっき優希くんに会いました!!

 またコラボしようねって誘えました!」

「な、なんだと⋯⋯なの

 優希くんを前にしてここに連れてこなかったの!?

 よく我慢できたの!?」

「わ、私だって成長出来るんですよ!!」

「でもぼくも会いたかったの⋯⋯」

「じゃあ次は綾乃ちゃんも一緒にコラボしちゃいます?」

「は、華は天才なの?」

「ふふーん!

 もっと褒めてくれてもいいんですよ!」

「華さま、ありがとうございますなのー!」

「なんか違和感がやばいのでそれは却下で」

「ぼくもそう思うの」

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