155:シュバルツとコラボ配信!(後編)

 ましゅまろを読む事にしたボク達だったけれど、最初にお父さんがタブレットを取り出して、ましゅまろの抽出を始めた。


 前からVtuber用に便利アプリとかが出てたのは知ってたけど、タブレットにあるのは知らなかったから後で教えて貰わなきゃ。


「それでは早速一つ目行ってみましょうか。

 ゆかちゃんに読んで貰ってもいいですか?」

『うん、任せて!』


 そう言うとお父さんはタブレットをボクに渡した。


『えーと』


『ゆかちゃん、シュバルツさんあけましておめでとうございます!ゆかにゃんが凄く好きなんですが、くまさん衣装のゆかちゃんとかも、滅茶苦茶可愛いと思うんですよね。ゆりさんverも見てみたいです。もし宜しければ御検討頂けませんか?⋯⋯だって』


『ボクとしては新規衣装は歓迎なんだけど、ゆるママに頼むのにもお金や時間の問題もあるから直ぐに、とは言えないかな?

 でも、確かに良さそうだから今度ゆるママに提案してみるね!』

「あの、しれっと私を混ぜないでいただけませんか?」


『え? でも絶対似合うと思うんだけどなぁ⋯⋯どうせならお揃いとか⋯⋯皆いいと思わないかな?』


:いいねいいね

:いやでも、シュバルツさん嫌そうじゃない?

:むしろやらないなんて言わないよねシュバルツさん

:シュバルツさんの精神に多大なるダメージ...

:やめたげてよぉ!!!!!

:でも見たいんだろ?お前ら

:見たい!!!!!!!

:応!!!!!!!!!



 コメントではいい感じの反応が多く、お父さんもその勢いに呑まれかけてるみたいで、少しあわあわとしている。


「み、味方がいませんね⋯⋯ん?」

 

 すると、突然お父さんのタブレットにメッセージが入って来た。


 丁度タブレットを見ていたボクがその内容を口に出す。


『えっと、ゆる先生に案を送っておきますね? だって、良かったね、お父さん!』

「どうしてですかああああああ!!!!」


 頭を抱えて叫ぶお父さん、その姿を見てコメントも盛り上がっていた。


:外堀が埋められてますね...

:語尾がくまって付くゆりさん...あり...

:地味にノリノリなゆかちゃんに草が生える

:ゆかちゃん声がウキウキしてるw

:お父さんと一緒にやるのが嬉しいのかな?


『⋯⋯これでボクと同じだね!』

「!?」


:ゆかちゃん!?

:今のは気のせいか...?

:なんか不穏な一言が聞こえた気がする...

:ひぇっ

:やだこわいw


 ボクがそう呟くと、お父さんが何を言ってるんだ、と言った顔をしていた。


「今一体何を言ったんですか⋯⋯?」

『気のせいじゃないかな?』

「気のせいじゃないですよね!?」

『気のせいだよ、だから次いこ?』

「あ、はい⋯⋯」


:押し切られてるw

:草

:娘に弱い父であった

:娘の方が強いのか...


『誰!? 今娘って言ったの!!』


:気のせいじゃないかな...

:気のせいだよ

:気のせい気のせい


『まぁいいや、じゃあ次はお父さんに読んで欲しいな!』

「そうですね、それでは。

 これはシンプルな質問ですね。

 低い声と高い声どこまで出せるか? との事ですね」


『うーん、高い声に低い声かぁ、気にした事ないや⋯⋯

 でもカラオケに行って女の人の歌を歌って困ったことが無いから結構高いのかな?

 ただ低い声は苦手だね』

「私は高い声はそうですね、クールな雰囲気の女の子の声を出す程度、でしょうか。

 歌うとなると厳しいんですよね」


『結構答えるの難しい内容だね⋯⋯』

「あまり普段気にしない事ですし、仕方ないですよ」


 真面目に答えようと思っても気にした事も無かったし曖昧になっちゃった。


:そうだよねー

:うおおおおお!読まれた!嬉しい!

:次は俺のを読んでくれー!

:私のを読んで!

疾風のナイトハルト:俺っちのも...

:しれっと混ぜてて草


「私もちょっと曖昧で申し訳ありません」

『ごめんね、今度限界に挑戦してみようかな?』

「喉痛めるからやめた方がいいですよ?」

『そうなの?』

「無理は禁物です」

『うん、分かった!』


:シュバルツさんのパパムーブだと...?

:これは新鮮

:うぅ...シュバルツさんの娘に産まれたかった...

:シュバルツさんの娘さんになったら名前中二病になるのかな?


 コメントではお父さんの普段見れない一面を見て沢山の反応が。

 中には私を育てて!なんてものもあって思わず笑いそうになっちゃった。

 しかも何人もいるんだよ?


「こほん、埒があかないですし、次行きましょうか⋯⋯」

『う、うん! それじゃあ読むね!

 えーと、動画を作った中でこれだけはやり直したいと思う事はありますか? だって!』


「私は、そうですね⋯⋯

 私は昔からあまりクオリティを落とさずにやって来ていたのですが、一度だけ投稿予定日に間に合いそうに無くて手を抜いた事があるんですよ」

『えっ、そうなの?』

「はい、ただそれが当時物凄くバズってですね⋯⋯少し悲しかったですね⋯⋯」


『それならいい事だったんじゃないのかな?』

「殆ど編集せずに一発撮りみたいな状況だったんですけどね、実は一箇所だけ漢字を読み間違えたんですよ⋯⋯気付いた時はもう投稿して大分経っていて、しかも誰にもバレなかったんですよ⋯⋯」


 お父さんは少し残念そうな顔をしてそう言った。


『もしかして、自分だけが気付いてるのが気持ち悪いって感じなのかな?』

「まさにその通りです。

 自分だけが間違いに気付いてるのって本当に違和感が⋯⋯」

『でも修正したら良かったんじゃないのかな?』

「気付いたの数ヶ月後ですよ、流石に気が引けますよ」

『それは仕方ないね⋯⋯』


「それじゃあ次はゆかちゃんの番ですね」

『うぐっ、ボクはね、最初に投稿したバイ○かな⋯⋯あの時放心状態になったの入れざるを得なくて今でも恥ずかしいんだ⋯⋯』

「⋯⋯可愛いレベルじゃないですか」


:あそこ好き

:マジで好き

:ゆかちゃん恥ずかしがってて可愛い

:あれをやり直すだなんてとんでもない!

:シュバルツさんのミスも気になるけど動画全部見返したら相当時間かかっちゃうんだよね

:皆で探すしかないな!


「やめてください、ほじくり返さないでください!」

『ぼ、ボクもそれは流石に可哀想だと思うかな⋯⋯』


:ちぇー

:仕方ない

:シュバルツさんは完璧なイメージあったからこそどんなミスなのか気になる


「次行きましょう、えーとこれはゆかちゃん宛ですね、次コラボしてみたい未コラボの人を教えてください、だそうですよ?」


:ガン無視は草

:一気に進めたwww

:シュバルツさんがガン無視しただと!?


『う、うぇ!?』


『え、えっと、未コラボの人⋯⋯

 うーん⋯⋯なのさんとかはまだした事ないかな⋯⋯

 って別事務所の人でごめんねお父さん』

「大丈夫ですよ、後はうちのナイトハルトさんくらいですかね、ゆかちゃんのことを好きだと公言しているのは」


疾風のナイトハルト:いいんすか?俺っちコラボしていいんっすか!?


『か、考えておくね?』


疾風のナイトハルト:実質断られてないっすか?

:草

:断られてるみたいで草

:ナイトハルトさんェ...


『断る気はないよ!?

 ただ時間が合わないとコラボは出来ないから⋯⋯』


疾風のナイトハルト:ほっ、良かったっす、時間に関してもそうっすね、予定合わせないとっす

:良かったね、ナイトハルトさん...

:やったねハルトちゃん!コラボ先が増えるよ!

:おいやめろ

:おいやめろ!

:おい、やめろ

:おい!!!やめろ!!!


 コメントで変な盛り上がりしてるけど何のネタ何だろう?


「⋯⋯もうそろそろいい時間になってきましたね」


 お父さんはコメントを見て何か言いかけたけど止めた様子。

 もしかして元ネタ知ってるのかな?


:いかないで

:まだおわらないで

:だめです

:おわっちゃだめ


『⋯⋯じゃあ最後に一個だけ、ね?』


 ボクはサービスと言わんばかりにラスト1個のましゅまろを抽出した。


:やったー!

:わーい!

:やっさしーい!

:皆語彙力消えてない?


『こ、これは⋯⋯』

「どうかしましたか?」


 ボクの最後に開いたましゅまろはお父さんに可愛い声でパパと呼ぶ事、って書いてあった。

 開いた以上言わないと⋯⋯だよね?


『ううん大丈夫だよ、パパ♪』

「グハァ!?」

「(あぁ! それはずるい!

 私もママって言って欲しい⋯⋯!)」


:うっ

:えっ

:あっ

:んっ

:()

疾風のナイトハルト:


 何故か全員コメントを打った後反応が無くなってしまった。


『え、えっとこれで配信終了⋯⋯かな?

 皆ありがとね! またよかったら来てね!』


------この配信は終了しました------


『お、お父さん⋯⋯? 大丈夫?』

「ゆ、優希⋯⋯不意打ちであれはダメだ⋯⋯がくっ」

『お父さん!?!?』


 お父さんは一言言うとそのまま床に突っ伏してしまった。


「ゆ、優希ちゃん!!」

『お、お母さんまでどうしたの!?』

「ま、ママって、ママって言って!!優斗さんにやったみたいに!』


 お母さんが凄い剣幕でボクに寄って来た。

 ママって言うくらいはいいけど、何でそんなに必死なんだろう?


『別にいいけど⋯⋯ママ♪』

「あぁぁぁぁ⋯⋯生きててよかった⋯⋯がくっ」


『えっ、二人とも? おーい!?』


 まさかのお母さんまで倒れ、二人は完全に気を失っている様子。


『ど、どうしようこれ⋯⋯』


 ボクはもう面倒になったので二人にお布団を被せて放置することにした。

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